仕事や人間関係、家事など、がんばればがんばるほど肩に力が入り、うまくいかなくなる……。こんな経験を持つ人も少なくないかもしれません。まじめな人ほど、周りの目が気になり、肩に力が入りやすいといいます。

「肩に力が入った状態は健康にもよくありません。つねに緊張を感じ、リラックスできません。結果、自律神経のバランスが乱れ、健康を害するのです」と指摘するのは、順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏です。

なぜ肩に力が入ってしまうのか? 力を抜くにはどうすればいいのか? 同氏の新刊『小林教授の肩の力を抜くとすべてよくなる』をもとに解説します。

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振り返ると私自身、「肩に力が入った状態」で、無理をしながら働いてきた時代がありました。人に認められたい、人に褒められたい、と周りの目を気にしながらがんばってきました。

負の感情による自律神経の乱れは伝播する

特に40代のある時期はそんな気持ちに引っ張られて、今思えばムダな時間を過ごしてしまったように思います。このままではまずいのではないか? と考え始めたのは40代半ばで、それから少しずつ肩の力が抜ける生き方を目指してきました。

実際、40代の頃の私は、チームをまとめる立場にある責任感から、恐れられる上司だったと思います。部下や後輩、スタッフがミスをしたら「鉄は熱いうちに打て」とばかりに早口で怒鳴っていました。

しかし、怒りの感情によってもたらされた自律神経の乱れは伝播します。冷静なつもりの私は怒鳴っている時点で乱れていて、怒鳴られた側は落ち着きを失い、どうやってリカバリーすればいいかと焦ります。

あなたも野球、サッカーなどのプロスポーツの試合でプレッシャーのかかる重要な局面で誰かがミスをし、その1つのエラーがきっかけとなって、次々とエラーが重なっていく場面を見たことがありませんか?

普段は難なく処理できるボールを失い、それが相手のチャンスにつながり、チーム全体が浮足立ち、ミスが連鎖する……。あれは、自律神経の乱れが伝染しているのです。

これは逆にいうと、自律神経が安定することによる安心感も伝播していくということです。

ミスが生じたとき、立場のある側が落ち着いて対応しているのを見ると、周囲も心が落ち着きます。それは自律神経の安定となって、全体のパフォーマンスの向上につながるのです。