コロナ禍で病院での面会が制限されていることなどを背景に、需要の高まりを見せている在宅ケア。家での療養生活を支えるのが、患者宅を訪問して診療を行う在宅医などだ。これまで800人を超える患者を在宅で看取り、「最期まで自宅で過ごしたい」という患者の希望を叶えてきた中村明澄医師(向日葵クリニック院長)が、若い人たちにも知ってもらいたい〝在宅ケアのいま〟を伝える本シリーズ。

2回目は、15〜39歳のAYA世代の在宅ケアについて、気になるお金の話や制度、在宅ケアの実現に向けてどう動くべきかについて解説します。

進学、就職、結婚、出産、子育て——。

AYA世代は中学生から社会人、そして子育て世代と、ライフステージが大きく変化していく時期です。この世代では、日本では毎年約2万人ががんを発症していると推定されます。

こうした時期にがんに罹患すると、通学や仕事の継続が困難になったり、治療によって妊娠・出産や育児に大きな影響が生じたりするなど、さまざまな面で負担がのしかかってきます。

日本では現在、40歳未満は介護保険制度を利用できません。同じAYA世代でも、18歳未満でがんになった場合には、20歳になるまで小児慢性特定疫病として医療費助成が受けられます。

18〜39歳のがん、介護サービスは全額負担

しかし18〜39歳でがんと診断された場合には、こうした公的助成がなく、いわば制度の「谷間世代」にあたります。介護保険が使えれば、訪問介護や訪問入浴など、自宅に介護スタッフが訪れてケアしてくれるサービスを1〜3割の自己負担額で利用できますが、40歳未満ではそれができない。そのため、こうしたケアを使う場合は、全額自費(10割負担)になってしまいます。

また、患者さん側に「仕事を継続したい」という意思があっても、治療と仕事の両立を支援する環境が十分に整っていないことから、仕事を辞めざるを得ない状況に追い込まれたり、休職後に復職することが困難になったりするケースも少なくありません。