千葉県在住の会社員A子さん(50代)は、昨年秋にお腹を切る手術を受けた。手術でできた傷痕は1センチほどだが、へそとその周辺あわせて5カ所もある。とくにへその周辺の傷は半年ほど経ってもまだ赤くくっきりとして目立つ。

「実は、手術をしたことは家族と職場の上司だけにしか話していないんです。最近は、友人とコロナ禍でなかなか旅行ができなかったので、そろそろ行きたいねなんて話していますが、温泉とかで洋服を脱げば友人に傷痕を見られてしまう。何とかしたいです」

病気で手術をしたりケガをしたりしたときに負う傷。その後にできた傷痕は、場所や大きさにもよるが意外と気になるものだ。だが、最近では、こうした傷痕がつきにくいよう治療に工夫が施されたり、傷痕を目立たなくするケアができるようになったりしている。

帝王切開やニキビ跡など悩みはさまざま

傷痕になりにくい治療や、傷痕の治療やケアを行う、きずときずあとのクリニック豊洲院(東京・江東区)。その院長で形成外科医の村松英之さんは、「傷痕の治療はまだ十分ではなく、海外で普通に使える素材や薬剤が日本では薬事が通っていなくて使えないものも多い。それでも、傷痕を残さない治療をすることが医療現場でも徐々に広まっています」という。

クリニックを開業して5年。医療界ではニッチな、すき間産業のようなものだが、来院する患者は多い。

「代表的な傷痕であるケロイドは女性のほうができやすい。帝王切開やニキビ跡、手術でできたケロイドを気にされて、受診される人は多いです。ケロイドがあるから温泉などに行きづらいという人もいて、われわれが考える以上に、見た目の問題は大きいと実感しています」(村松さん)