知覚のなかで一番、刺激が大きいのは、視覚から入ってくる情報だといわれている。画面の内容うんぬんではなく、見る側、つまり情報を受け取る側がネガティブな印象を持てば、それはどんなに明るい情報であっても、マイナスの影響を与えてしまうそうだ。

「これはどなたにも言えることですが、”気持ちが塞ぐようなSNSやテレビは観ない、画面をオフにする”ということを心がけてほしいと思います」

「脳が疲れる」行動にも注意

また、うつ傾向がある人に関しては、何時間もSNSやテレビを見ることも「脳が疲れる」ので避けたほうがいい。

先の研究報告のなかでは、なぜSNS断ちをしたグループのほうがメンタルヘルスが改善したのか具体的には書かれていなかったが、張医師は「SNSを見るというダイレクトな影響を受けなくなったという理由もあるが、SNSを見る時間をほかのことに使えたところも大きいのではないか」と考える。

「空いた時間を運動したとか、友だちと話したとか、趣味を楽しんだとか、脳を休める時間を持てた可能性もあります。その効果も大きいのではないでしょうか」

もちろん、SNS絶対ダメというわけではない。張医師はあるうつ病の患者に「脳を休めてくださいね」と助言したところ、その患者は「動物系の動画を観ている」と言ったそうだ。

「確かに動物系や自然の動画など、観る人たちにポジティブな気持ちをもたらす動画もあるので、一概にSNSはダメとは言えません。やはり使い方が大事なのだと思います」

こうした個人的なケアはもちろん大切だが、それだけでなく、社会全体が不安感を抱く人たちにどれだけ共感し、支援できるか、ということも重要だろう。

「なかには、『俺たちは知ったこっちゃない』と目を向けない人もいるかもしれません。しかし、やはり社会全体としては苦しんでいる人がいるということを意識し、そういう人たちへのサポートを考えていかなければなりません」(張医師)

著者:鈴木 理香子