そもそも、「日本人のセロトニン分泌量は、世界最少クラス」という研究もあるくらいですから、日本人には、何らかのきっかけでセロトニン不足が生じると、自粛警察官化する傾向があるといってもいいでしょう。

とりわけ、コロナ下では、ステイホームが要求されていたため、日光を浴びる時間が短くなり、セロトニンが不足しがちです。その結果、ふだんは隠れている“自粛警察性”が現れやすくなったとも思えます。

「怒り」はどこから生まれてくるのか

では、他者を「許せなくなる」ような負の感情は、どのように制御すればいいのか。まずは、「負の感情」、具体的には「怒り」がどのようにして生まれてくるのか、そこからお話ししましょう。

人間の感情は、大脳皮質(前頭葉など)と、脳の深いところにある大脳辺縁系(古脳)の相互作用から生じます。

たとえば、「マスクをしていない人が、大声で話している」姿を見かけると、辺縁系がすばやく、かつ単純に反応して、イラッときます。ときには頭に血がのぼり、文句の一言もいいたくなるでしょう。それも、辺縁系の反応です。辺縁系は、瞬間的に交感神経を興奮させ、直情的な怒りといった原始的感情を生み出すのです。

その辺縁系のなかでも、感情に関しては、「扁桃体」という部位が主役を務めています。扁桃体は、目や耳から情報が入ってくると、それが「生存」に関わるかどうかを瞬時に判断します。たとえば人が「ヘビだ!」と気づくと、0.04秒後には、扁桃体が興奮すると報告されています。そして、人は恐怖を覚え、とっさに飛びのくことになるのです。

というように、扁桃体の反応は、とにかくスピード優先です。一方、それにブレーキをかけるのが、大脳皮質です。そのアクセルとブレーキの関係は、「怒り」をめぐって、最もわかりやすく現れます。

たとえば、先ほど述べたような、マスクをしていない人に対しても、大脳皮質はゆっくりと反応します。扁桃体の働きによって、瞬間的にはカッときても、その後すぐに大脳皮質が「文句をいうと、あとあと厄介ではないか」のように考えて、衝動的反応にストップをかけるのです。

要するに、辺縁系は感情のアクセル役、大脳皮質は感情のブレーキ役といえます。人間の感情状態は、この2つの遅速の決定システムによって決まってくるのです。

これは、怒り以外の感情の場合でも同様で、たとえば、おいしそうなものを目にしたとき、辺縁系の「早いシステム」は「わっ、食べたい!」と反応します。しかし、その後、大脳皮質が遅れて反応し、「食べると太るから、やめておこう」というようにブレーキをかけるという具合です。

しかし、ストレスが過剰にかかっている場合は、大脳皮質の冷静な反応が、辺縁系の直情的反応に負けやすくなります。あなたも、疲れているとき、つい人に当たってしまったことはないでしょうか。それは、疲労から、大脳皮質が辺縁系を抑え込められなかったときに起きる現象です。

新型コロナの影響で、自粛生活が続いたり、経済的な困難があったりすると、誰しもイライラがつのります。この項からは、ストレスがたまり、「イライラする」ときの対処法を紹介していきましょう。