熊本駅から45分ほど電車に揺られると、八代駅に着く。そこからタクシーに乗ると、10分ほどで学校に到着した。

校門前には「2023年創立100周年 未来の創造へ進化」と書かれた大きな看板がまぶしく映る。加えて目を見張ったのは、校舎前の道の向こうに設置された十数メートルに及ぶ看板だ。2021年度の全国・九州高校総合体育大会に出場した8つの運動部名と、出場選手の名前が大きく書かれていた。

今年のサッカー部の1年生はなんと120人

熊本県私立秀岳館高校。4月20日、サッカー部の30代男性コーチが3年生部員に暴行した動画がSNSで拡散。それについて、部員11人が顔と名前を出して謝罪する動画が部のアカウントから発信され(現在は削除)、それに段原一詞前監督(49)が裏で関与していたことも明らかになった。

さらに、上級生から暴力を受けて入学直前に学校を急遽辞めざるをえなくなった1年生の保護者から、警察に被害届が出ていたことも発覚。こうした一連の動きに対し、段原前監督が民放局の番組に出演した際に虚偽の証言をするなどし、大きな騒動になった。

筆者が足を運んだ5月18日は、段原前監督の退職届を同校が正式に受理。さらに、同校が作成し熊本県私学振興課に提出した不始末に関する報告書が不十分だったとして差し戻された翌日でもあった。報告書には、部員11人が顔と名前を出して謝罪した動画や、前監督の不適切発言についての詳しい記述などもなかったという。

これに対して、息子がサッカー部員だったという保護者は「今回の事件を機に活動を見直してほしいが、学校側が本気で取り組もうとしているのかは非常に疑問」と顔をゆがめる。

「寮では飲酒やタバコが普通にあったと子どもから聞いている。サッカーを、子どもを集める道具にしているように見えた」

集めているのか、集まってしまうのか。断定はできないが、今年度サッカー部に入った1年生は約120人。2、3年生はそれぞれ40〜50人ほどなので、1学年あたりの人数が3倍近くに一気に増えたわけだ。