終末期医療患者を中心に、病や障がいを抱える人の願いをかなえる付き添い看護サービス、「かなえるナース」。この事業を運営する代表の前田和哉さんによる初の著書、『自分らしい最期を生きた人の9つの物語』が6月に刊行された。

本書は、現役の看護師でもある前田さんがこれまでに出会った、「自分らしく悔いのない最期」を送った9人のドキュメンタリー短編集。自分や自分の大切な人がいつかこの世を去る時に、「後悔しないためのヒント」が実話を通して綴られている。

多くの終末期患者に寄り添ってきた前田さんに、「最期の日々を悔いなく生きるためのヒント」について、全3回でインタビュー。第2回は、「かなえるナース」を通じて人生最期の願いを叶えた、終末期患者とその家族のストーリーを紹介する。

1回目:『「最期にビール飲みたい」願い叶えた看護師の想い』

余命わずかの祖母に僕たちの結婚式を贈りたい

重い病を抱えているために、子どもや孫の結婚式への出席をあきらめざるを得ない。そうした病気や障がいを持つ人たちが、大切な家族の結婚式に立ち会えるように――。

「かなえるナース」では、外出時の付き添い看護をはじめ、結婚式の衣装の手配や着替え、記念撮影、式のプログラム作成などプロデュースも手がけている。

2020年の2月中旬。この事業を運営する前田和哉さんのもとに、ある依頼が舞い込んだ。

「母が末期の肺がんで余命1、2カ月と言われているんです。母に息子たちの結婚式をどうしても見せてあげたいので、手伝っていただけませんか?」