もしも、あなたが話していることを理解できなくて、お子さんが癇癪を起こしているのなら。あなたがまずすべきは、話す速度を落としてあげることです。

正確で論理的な言葉を選ぶことに気を配るよりも、むしろ、ゆっくりと静かな声でコミュニケーションを心がけてみてください。そのほうが、お子さんと親御さん、双方の気持ちの高ぶりを抑えるのにも効果的です。

子どもに対して、大きな声でたたみかけるような早口で、ついあれこれ言ってしまう親御さん、子どもに厳しい言葉を発するのが務めだと思っている親御さんは、この令和の時代になっても一定数いらっしゃいます。

しかし、甘い親と厳しい親、子どもの脳の成長にいいのはどちらかと問われれば、脳の専門医という立場から考えるに、間違いなく甘い親のほうがいいでしょう。

なぜなら脳は、楽しいこと、うれしいことが大好きだから。楽しい気持ちのときにしか、脳は力を発揮できませんし、成長することもできません。だから脳にとって「親の厳しさ」はあまり意味がないのです。

もし「甘やかす」という言葉に抵抗を感じるのであれば、「楽しい場面をたくさんつくる」のを心がけてみてください。なにか子どもにとってネガティブなことを伝えるときも、怖い顔で厳しく言うより、まず楽しい雰囲気をつくったうえで指摘するほうが、脳はスムーズに受け取れます。

厳しい言葉は、脳に入っていかない

大人の脳でも、厳しい言葉や表情で圧力をかけられれば萎縮し、適切な思考や判断ができなくなります。こうした場面が日常的に起きていると、脳はなかなか発達できません。

子どもの未熟な脳が伸びやかに成長していくためには、いつも自然体でいられて、安心できて、楽しい気分で、思考や行動ができる環境が不可欠です。

もし、お子さんが逆ギレしたり、不機嫌になったり、泣いたりしてしまう場面が日常茶飯事なら、「私は日頃、怖い顔をしていないだろうか」「厳しい態度をとっていないだろうか」と振り返り、親子のコミュニケーションを変えてみてください。

怖い顔をしても、厳しいことを言っても、脳にはなにも伝わらないということ。むしろ、子どもが楽になるような表情で接することが、脳の成長には有効なのです。

著者:加藤 俊徳