56歳で「悪性リンパ腫」と診断された笠井信輔さん。約33年間勤めたフジテレビを退社して、そのわずか2カ月後のことだった。

しかも入院生活は、短くても4カ月、長くて1年掛かると医師から聞かされる。長期に及ぶ入院に対して、ブログやInstagramで発信しながら、笠井さんが意識していたこととは何か。がんになって良かったと思う人はいない。それでも笠井さんが得たもの、失ったものは何だったのか。がんになった人を描く映画『愛する人に伝える言葉』についても聞いた(今回は、前後編の後編です)

前編:「追いやられて会社脱出、笠井アナどん底で見た景色」

人のプライバシーを伝えることを生業としてきた

がんが発覚した後、その2カ月前まで担当していた『とくダネ!』に出演して、自らがんの公表に踏み切った笠井さん。

病気を隠したまま過ごす人もいる中で、あえて生放送で公表したのはなぜか。

「フジテレビ人生の中で、約33年間ずっと情報番組やワイドショーを担当してきました。有名人、著名人のプライバシーを伝えることを生業としてきたんです。そこで自分が一大事になったときに、プライバシーのことなのでそっとしておいてほしい、というのは違うと思いました。贖罪だと思う部分もあります」

他にもいくつか理由がある。

1つは、『とくダネ!』で長年一緒に番組を担当していた小倉智明さんの存在だ。小倉さんは、膀胱がんを患って復帰した際、自分の症状や闘病生活をここまで言うかというくらい、赤裸々に語った。喋り手としての信念をみた。