安倍元首相の事件を機に、カルトや宗教への注目が高まっている。カルトとされる存在の脅威を改めて感じた方も多いことだろう。ただ、従来型のカルトや宗教とは別に、われわれの身近には新たな脅威が生まれているのだという。

ネット上での論争に詳しい文筆家の物江潤氏は、スマホなどSNSを媒介として広まるカルト的な教えを「スマホ教」と命名し、警鐘を鳴らしている。若者だけではなく高齢者もスマホを積極的に活用するようになった結果、およそ常識とかけはなれたことを信じてしまうケースも珍しくないという。実際に極端な情報だけを仕入れるようになった高齢の身内との「断絶」が生まれることもあるのだとか。

物江氏の新著『デマ・陰謀論・カルト スマホ教という宗教』は、現代人の必需品「スマホ」の普及とともに増え続ける、SNS上でトンデモ思想を発信する人々に正体に迫った1冊だ。「スマホ教」とはいかなるものなのか。同書より一部抜粋し再構成のうえ、お届けする。

ゴム人間と光の政府

いまやスマホやSNS、インターネットという存在は、私たちの生活に欠かせないツールのひとつとなりました。その一方で、ネットの世界は、ここ数年でますます混沌としてきています。新型コロナ禍にて、ついついスマホを手に取る時間が増えがちな今日、言いようのない奇妙な違和感を覚えている方もいらっしゃるでしょう。

コロナワクチンは人口削減計画のために作られた。国会議員や芸能人はゴムのマスクをかぶったゴム人間ばかり。トランプ大統領率いる光の銀河連合が闇の政府と戦っている。ロシアとウクライナは戦争なんてしていない……。こんな理解不能な言葉を喚き散らす人々が、いつの間にかネット空間に増えているのです。