2020年の厚生労働省 『患者調査』 によると、精神障害の患者数は600万人を超え、 約10年前と比べてもほぼ倍増しています。2021年の同省 『労働安全衛生調査(実態調査) 』 では、労働者の2人に1人以上が、仕事で 「強い不安やストレスとなっていると感じる事柄がある」と回答しています。

心身の休養が必要な人でも、「休職をしたら、キャリアが損なわれる」「家族に心配をかける」「同僚に色眼鏡で見られるかもしれない」「収入がなくなったら、生活できない」などの不安から、休まずに働き続けているという方も実際にいらっしゃると思います。

日本で5%しかいない“精神科”産業医で、精神科医として自身のクリニックで患者に寄り添う傍ら、大手企業をはじめ産業医として復職成功率9割の実績を持つ加藤高裕氏は、「会社には、万が一のときのセーフティネットがあり、セカンドチャンスもある」と言います。同氏の新著『マンガでわかる 休職サバイバル術』より一部抜粋し再構成のうえ、本稿ではメンタル不調を招く要因について解説します。

メンタル不調を招く「つまずき」と「こじらせ」

日々のストレスがメンタル不調にまで発展するには、2つの要素が関わっているようです。私はこれをよく「つまずき」と「こじらせ」と表現しています。

繊細で気がつきやすい人ほど、つまずきやすい。

「つまずき」とは、ひと言でいえば不安に対する耐久力です。繊細でいろいろなことに気がつきやすい人は、多くの人が無視できるほころびを実際以上に大きく感じてしまったり、小さなトゲに引っかかって痛みを感じたりしやすい傾向があります。

例えば、ある朝、同僚に挨拶をしたのに返事がなかった。彼はイヤホンをしていて挨拶に気がつかなかったのかもしれない、このあとのアポイントのことで頭がいっぱいであなたのことが見えていなかったのかもしれない。あるいは、恋人とケンカ中で虫の居所が悪かっただけかも。

でも、ここで「避けられている」「嫌われているのかも」という不安が持ち上がると、朝の出来事はその日一日中、どんよりと心に暗い影を落とすでしょう。