足を蹴り上げ、腕を大きく振る――。この「走る」というシンプルな動作に隠されている心とのさまざまなつながりを、プロランニングコーチの金哲彦さんがひもといていく本連載。

第4回は、「女性ランナーの疲労骨折」について考えてみます。健康増進やストレス解消などさまざまな目的があるランニングですが、そこでケガをしてしまっては元も子もありません。どんな点に注意すればいいでしょうか。

2022年10月23日に福岡県の宗像市で開催された全日本実業団対抗女子駅伝の予選会「プリンセス駅伝 in 宗像・福津」で、アンカー区間に起用された白井明衣選手(京セラ)がフィニッシュまで残りわずか1キロという地点で突然転倒し、そのまま途中棄権してしまうというアクシデントがありました。

その原因はその後、「左大腿骨骨折」と公表されました。

社会問題になったことも

この女子駅伝は全国大会の予選会という位置づけとなっているため、事実上セミプロである実業団チームの選手たちにとっては相当なプレッシャーがかかるレースとしても知られています。過去、この大会では同じように足を骨折しながら中継所まで襷(たすき)をつなぐために地面を這って進む選手がいたり、脱水症状でフラフラになりながら途中棄権した選手の痛々しいシーンが社会問題となったこともあります。

駅伝のレース中に最も長くて頑丈な大腿骨が折れてしまう。にわかに信じられないアクシデントですが、実は、長距離を専門とするアスリートに時々起きる故障の1つです。

そもそも骨折は、交通事故などで起きる「外傷性骨折」と、病気などが原因で骨がもろくなって折れる「疲労骨折」に分類されます。レース中に起きた骨折は、後者の「疲労骨折」に分類されます。