「パワハラが原因でうつ病になった」「職場で受けた仕打ちのせいで人と接するのが怖くなった」「就労が困難になり困窮した」……ブラック企業という言葉が定着して久しい日本社会では、こういった体験を見聞きすることは決して珍しくないだろう。

本連載ではそうしたハラスメントそのものについてだけでなく、まだ十分に語られてきていない「ハラスメントを受けた人のその後の人生」について焦点を当てる。加害者から離れた後の当事者の言葉に耳を傾けることで、被害者ケアのあり方について考えられると思うからだ。

今回インタビューに応じてくださったのは、市役所に勤める地方公務員の恵梨香さん(25歳・仮名)。休職までの経緯を伺った前編に続き、休職中である現在の心身の状況、またどのようにして回復までの道のりを辿っているのかを伺った。

休職して2年が経過

《前編の振り返り》
恵梨香さん(25歳)は、勤務先の市役所でパワハラおよびセクハラの被害に遭った女性。40代の女性の先輩から衆目の中での叱責、無視、陰口、書類を回さない等の被害を受けるも、事なかれ主義の上司らは対応してくれず。また、部署自体もセクハラのノリが染みついており、業務中、飲み会、会社のLINEグループに至るまで、ずっと下ネタで盛り上がっているような部署だった。さまざまな事が重なった結果、恵梨香さんは重度のうつ病と診断。休職して約2年が経過した。

――職場を離れてから、キャリアの考え方や人生観にはどんな影響があったでしょうか。

今私は休職に入って2年になります。最初の頃は劣等感でつらかったですが、今ではもう、「生きてさえいればなんでもいいや」と思うようになりました。もともとポジティブだったというわけではまったくなくて、いろんなことを諦めて、そう考えるようにせざるをえなかったというのが実状です。

大学の同期と比べるとやっぱり自分の現状に悲しくなりますが、学生時代から公務員になるのが夢で、なりたくてなったのにこんな目に遭ったんだから、どうしようもなかったよなって。

がんばって入った大学にがんばって通って、がんばって就活して受かったところでがんばって働いても、結局こうなっちゃうんだって。本当に何もかもが嫌になりました。以前は計画的にキャリアを積んでいくつもりだったんですけど、一度心が折られてからは生きるので精一杯で、それどころではなくなってしまった。うつが回復してきてからも、がんばってまた働こうという気は起きなくなってしまいました。