ノーベル賞で注目を集めた「体内時計」の研究が進み、「時間」を考慮した栄養学の必要性が提唱されるようになりました。「何を食べるのが健康によいか」ではなく、「いつ食べるのが健康によいか」が注目され調べられるようになったのです。体内時計のリズムに合った食べ方こそ、健康の原点であると考えられ、「時間栄養学」と呼ばれています。

本稿では、東京女子医科大学名誉教授の大塚邦明医師が上梓した『大切なのは「いつ食べるか」でした。』より、「時間栄養学」とはどのようなものか、また「体内時計」に合った生活の工夫をご紹介します。

昨今、健康医学へのとり組みは大きく変貌し、目を見張るものがあります。何といっても注目されるのは、「体内時計」の発見と「時間栄養学」の登場です。

食べる時間を意識するだけ

体内時計は私たちの自律神経、ホルモン、免疫系を“叱咤激励”し、病気の進行を抑えるために常時働き続けています。

たとえばマウスで、すい臓にある「体内時計」に関係する「時計遺伝子」というものを取り除くと、インスリンが出なくなって糖尿病になってしまいます。また、心臓の時計遺伝子を取り除くと、心臓の収縮力が弱くなって心不全になり早死にしてしまいます。

さらに、驚いたことに、その取り除いた時計遺伝子を移植して元の状態に戻すと、糖尿病や心不全が治ってしまったのです。がんも同じでした。