コロナ禍での東京五輪・パラリンピックの開幕を前に、菅義偉首相の再選戦略が狂い始めている。コロナ感染対策の迷走やワクチン接種の混乱で内閣支持率が再び下落し、自民党内にも菅政権の前途を危ぶむ声が広がっているからだ。

五輪開催によるコロナ感染拡大への強い懸念や反発をはねのけて、7月23日の五輪開幕を迎える菅首相。官邸サイドは「始まれば、日本の金メダルラッシュで不安は吹き飛ぶ」と期待し、五輪とパラリンピックの成功による内閣支持率回復に自信をにじませている。

しかし、主催都市・東京の感染急増は止まらず、来日した各国選手団や関係者のコロナ感染も相次ぎ、正常な競技運営への不安が募る。有力な海外メディアも「五輪が感染爆発の引き金になる」と指摘し、一部競技の中断や中止を予測する声もあがる。

衆院選の先送り論が浮上

それでも、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長や菅首相は「安全安心な大会にするため万全を期す」と経文のように繰り返す。ただ、バブルに守られているはずの選手や関係者の無断外出や一般国民との接触も目立ち、国民の不安は高まっている。

そうした中、五輪後の政局の最大の焦点となる衆院解散の時期について、当初想定されていたパラリンピック閉幕直後の「9月上旬に解散断行ー10月上中旬投開票」の日程を先送りし、自民総裁選を先行させる案が政府与党内で台頭している。

五輪開催約1週間前に主要メディアが一斉に実施・公表した世論調査では、菅内閣の支持率はいずれも過去最低、不支持率は過去最高となった。コロナ感染再拡大やワクチン接種の混乱が理由とされるが、自民党の支持率下落も目立ち始め、同党内で次期衆院選への不安が加速している。

政界では、かつて参院のドンと呼ばれた青木幹雄元官房長官が唱えた「青木の法則」が改めて注目を集めている。「内閣と自民党の支持率合計が50を割ると政権危機」というものだ。最新の調査の中には、合計が「50.7」となったケースもあり、「このまま下落が続けば、菅首相の早期退陣は必至」(自民長老)との見方が現実味を増す。