そこで問題となるのは、解散を先延ばしした場合の総裁選の時期とその位置づけだ。自民党内では「10月解散なら総裁選の先行実施が筋」(閣僚経験者)との意見が相次ぐ。これに関連して野田聖子幹事長代行は、20日の記者会見で「原理原則に基づき、全党員一票一票の積み重ねで民主的に決めるべきだ」と述べ、党員・党友も含めたフルスペックでの総裁選実施を主張した。

野田氏はかねて総裁選出馬に意欲を示しており、党執行部の一員として菅首相の無投票再選に待ったをかけた格好だ。また、2020年9月の総裁選で菅首相に敗れた岸田文雄前政調会長や石破茂元幹事長も総裁選出馬を模索する立場を変えていない。

「菅首相で衆院選は戦えない」

自民党総裁公選規程は、総裁選の1カ月前までの日程決定を求めている。日程を決めるのは総裁選管理委員会(野田毅委員長)だが、党員・党友参加のための手続きなどから「お盆明けには日程を決める必要がある」(管理委事務局)とみられている。

これに関連して、自民党の甘利明税制調査会長は19日の民放BS番組収録で、あらかじめ菅首相の総裁任期を延長して、衆院選後に総裁選を実施するとの選択肢を示した。甘利氏は安倍晋三前首相や麻生氏とともに「3A」と呼ばれる党内実力者で、菅首相を支える立場だ。

自民党内ではこれまで、「総裁選で菅首相の有力な対抗馬はいない」(自民幹部)との見方が支配的だった。しかし、内閣支持率の再下落や都議選を含む各種選挙の自民敗北を受けて、「菅首相で衆院選は戦えない」(若手)との声も出始めている。

このため、菅首相を支持する勢力からは「総裁選先行論は菅降ろしを誘発しかねない」(無派閥菅グループ)との不安も漏れる。8月下旬に総裁選日程が決まれば、岸田、石破両氏を含め、総裁候補と目される有力者達は「事前の意思表示を求められる」(自民長老)ことは確実だ。出馬宣言が相次いだ場合、「菅派と反菅派の多数派工作が始まり、ポスト菅の権力闘争に突入する」(同)可能性は否定できない。