菅首相サイドは「無投票再選が前提なら、総裁選先行で解散時期の選択肢が広がる」と期待する。ただ、今後のコロナ・五輪政局の展開を考えると「五輪・パラリンピックが大成功とならない限り、無投票再選はあり得ない」(閣僚経験者)との見方が多い。

その場合、「菅首相が総裁選で再選されても党内の亀裂は広がり、衆院選で大幅に議席を減らせば、その時点で退陣論が浮上する」(同)ことも想定される。何とか自民単独過半数を確保して続投しても、「政権の死に体化は避けられない」(細田派幹部)。

止まらぬ五輪期間中の感染拡大

五輪開幕に先立ち、21日には一部競技がスタートした。初陣となったのは日本が北京五輪に続く金メダル獲得を目指すソフトボール予選で、福島県で開催された同日午前の日本・オーストラリア戦は日本がコールド勝ち。菅政権幹部は「幸先がいい。これで五輪も盛り上がる」と相好を崩した。

ただ、東京でのコロナ感染拡大は五輪期間中も止まりそうもない。都内の感染状況について、政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長は20日の民放番組で、「1日当たりの新規感染者数は8月第1週には過去最多の3000人近くまで増加する」と予測。その際の医療逼迫の可能性についても「極めて高い」と警告した。

菅首相らが期待する日本の金メダルラッシュで国民が熱狂する状況となっても、「コロナ感染拡大が続いて医療逼迫ともなれば、国民の政権批判は加速しかねない」(自民長老)。内閣や自民党の支持率がさらに落ち込めば、自民党内の「菅首相離れ」も加速しそうだ。

例年より早い梅雨明けの後、列島全体を猛暑が襲う。22日以降、五輪外交にいそしむ予定の菅首相にとって、五輪閉幕のお盆前までの約半月は「日本の金メダルと感染者数に加え、内閣支持率の推移に一喜一憂する、ハラハラドキドキの毎日」(周辺)となりそうだ。

著者:泉 宏