今年4月に開かれた上海モーターショー。そこで一躍注目を集めたのがレクサスブランド初のミニバン「LM」だ。トヨタの人気ミニバンであるアルファード/ヴェルファイアを基に、レクサス用に仕立てられた高級ミニバンで、中国およびアジア地域での販売を目的としている。

その仕様は、単にフロントグリルをレクサス用に付け替えただけでなく、レクサスに見合った仕立てとなっている。中心となるのは、内外装や室内空間の構成、そして快適装備であるという。最も顕著なのが、ミニバンで当たり前の3列シート構成ではなく、セダンのように後席は2列目のみで、1人ずつ腰かけるキャプテンシートとなっている。

また、前席との間には仕切りがあり、アメリカで栄えたストレッチリムジンのように運転者など前席の人とは隔離された個別の後席空間がある。まさに、ストレッチリムジンのミニバン版というつくりだ。

LMの先駆けとなる「室内のつくり」

こうした考え方は、実は、2008年にアルファードが2代目へフルモデルチェンジした際、LMの先駆けとなる室内のつくりがあった。7人乗りで、2列目がキャプテンシートである場合、いったん座席を中央側に寄せ、後輪のタイヤハウスを避ける位置にすることで、後ろへ最大83cmもスライドさせることができる超ロングスライド仕様があった。

これにより、車体全長が4.8mを超えるミニバンの空間をぜいたくに使った後席空間が得られたのである。この時点で、ミニバンを実用で使うのではなく、空間を快適に使う発想がトヨタから発信された。

レクサスLMの後席(編集部撮影)

ほかにも、ゆとりある寸法の後席としたエグゼクティブラウンジでは、ナッパの本革が使われ、足をのせるオットマンが備わり、折りたたみ式のサイドテーブルは3D木目調パネルや金属調素材で飾られた。助手席においても、最大1.16mのスーパーロングスライドシートなどの仕様もあった。これは、1列目と2列目の座席のスライドレールをつなげることで実現している。

アメリカで生まれたミニバンではあるが、ホンダがオデッセイを出したことにより、ただ大人数で出かけられるクルマの価値だけでなく、より乗用としての快適性や、アルファードのような空間をぜいたくに利用する新しい価値が日本で追加されてきた経緯がある。