新型コロナの影響で航空業界は大きく変化し、その利用方法も大きく変わっています。機内の感染対策は、サービス向上と相反すると思いきや、必ずしもそうは言えない部分も。実際にANAの国内線に乗り、取り組みを見てきました。

9月の4連休には90%オーバーの搭乗率を記録

 新型コロナウイルス感染拡大の影響は、2020年の航空業界に甚大な影響を及ぼしています。ただ一方で、国内線に限って言えば飛行機を使った外出、旅行のハードルは徐々に下がりつつあります。

 ANA(全日空)では、使用する飛行機の小型化や減便の影響もあるものの、羽田発国内線の搭乗率は9月の4連休に90%以上に。また、10月からは政府主導の「Go Toトラベル」が東京でも適用され、全国的に国内旅行推進の流れが広がることもあって、その後の搭乗率や予約数も「堅調に回復」しているといいます。

 これにあたり、航空会社は空港や機内のサービスなどあらゆるところで、いわゆる「ニューノーマル」なスタイルへアップデートしており、その様はまさに日々進化といえるでしょう。2020年9月24日(木)にANA便に実際に搭乗し、「最新の搭乗スタイル」はどのようになっているのか、体験してきました。

 平時との違いは搭乗前から始まっています。平時であればANA便の搭乗順は、ANAマイルを一定数以上保有するいわゆる「上級会員」など3グループに分けられていましたが、現在は後方窓側→中央→通路側、その後、前方窓側→中央→通路側と、従来の倍となる6グループに分け乗り込む形に。「上級会員」優先の搭乗順は中止されたものの、「上級会員」の場合は専用レーンから乗り込めるようにもされています。

 改札通過後の搭乗橋には消毒液などが置かれており、こまめに利用するよう促すアナウンスが流れます。また、イヤホンなどと一緒に「手荷物を収容するための袋」が置かれており、「手荷物を経由しての感染リスクや不安」を抑える措置も講じられているのもポイントでしょう。

搭乗した後も色々違う CAの対策アイテムにも工夫

 ANA国内線は全便で、希望者に対しアルコールシートを配っています。このときCAはお盆をもち、利用者自身がそこから取り出すスタイルに加え、使用後のシートを捨てるためのポリ袋も同時に配られるといった配慮も見られます。

 機内サービスについては、新型コロナウイルスの感染拡大後、普通席のドリンクサービスをお茶、水、りんごジュース(おもに子ども向け)のみに変更したほか、シートポケットの機内誌のセッティングも取りやめています。

 2020年9月現在は、お茶とリンゴジュースは紙コップでの提供となっており、水は255mlのペットボトルに入った「飲みきりサイズ」のものをそのまま渡す形です。機内誌や雑誌については、CA(客室乗務員)にオーダーできます。

 いまや業界内で一般的になりつつあるCAのマスク&手袋着用も継続。ANA広報部によると、手袋は、ドリンクなどのサービス開始前に交換するといいます。出発前にCAは、利用者の安全確保のため、手荷物預け棚などが閉まっているかチェックする業務などが必要です。新たな手袋で巡航中のサービス提供することで、衛生面の向上を図ります。

感染策向上で降機時のストレス軽減のワケ

 トイレについては、国内線は毎便、発着のあいだに清掃されています。このほかANA広報部によると、巡航中もCAが適宜トイレの清掃をするよう奨励しているとのことです。

 そして最も大きく変わったのが、降機の際の対応でしょう。飛行機はひとたびドアが閉まれば、およそ2分から3分で機内の空気がすべて入れ替わる設計です。高性能フィルターも搭載されています。その入れ替わる空気の流れも他人と同じ空気を共有しやすい前後方向ではなく、天井から床下へ流れます。つまり静かに乗っているぶんには、交通機関としての空気のキレイさは折り紙付きとされています。

 とはいえ、空の旅におけるウイルス対策で最も危惧すべきなのは、降機の際の“密”とも。航空機メーカー、エアバスも過去に「早く降りたいと通路で列を作るのは、リスクを高める可能性がある」といった趣旨のコメントをしています。

 ANAの国内線ではこれを防ぐべく、前からブロックごとに分けた降機を案内しています。ボーイング787型であれば、最初に9列目までの乗客が降機、1分から2分ほど経過しその列の旅客が降りたら次は19列目まで、といった具合で、かつ「自分の列が来るまで席を立ってはいけない」とアナウンスがあります。

 この方法ではもちろん密を防げるほか、「早く降りたい人達」が列をなし、かつ手荷物を下ろすのに通路をふさいでしまった結果、その人たちから無言の圧力を感じる……といった「降機時あるある」なことも少ないので、心理的にも圧迫感も感じづらく、その意味で快適性もプラスです。いつもの混乱が少ないぶん、降機までの時間もそこまで大きな変動もないどころか、心理的には、かえって早く降りられたと感じる人もいるでしょう。

 なお、こういった一連の取り組みを同社は「ANA Care Promise」として打ち出しており、引き続き時代に合わせた衛生対策を講じるとしています。