いまや長距離を飛ぶ国際線用の飛行機だけではなく、国内線でも珍しいものではなくなった機内モニター。かつて世界初「機内でテレビ放映」を実施したとされるANAに、現在に至るまでの歴史を聞きました。

東京五輪前にANA機に初搭載された「機内テレビ」

 2020年現在、日本の航空会社の客室設備で、座席ごとに備え付けられた「個人モニター」は、なにも珍しいものではなくなっています。

 長距離を飛ぶ国際線機材では、LCC(格安航空会社)を除いてほぼ一般的といえる設備であるほか、近年では国内線機材でも全席に装備され、それを大きな強みとしている航空会社もあります。

 実は、機内モニターの元祖は日本だったとも考えられます。

 東京オリンピックを控えた1963(昭和38)年、ANA(全日空)機の羽田〜伊丹線が、世界で初めて機内にテレビをつけ、放映したと報じられています。共同通信によると、「特殊アンテナを機体に取り付けて電波を受信、5台のテレビでプロ野球ナイターが中継され、乗客はイヤホンをつけて観戦」したそうです。

 その後、現代の高性能な個人用モニターが搭載されるようになるまで、どのような変遷をたどったのでしょうか。ANAに聞きました。

ANAに聞く「機内テレビ」から「4K個人モニター」までの歴史とは

 ANA広報部によると、1978(昭和53)年に「トライスター」ことロッキードL1011型機で、プロジェクターを使った機内エンターテインメントの放映サービス「スカイサービス」が開始されたとのこと。

 個人用モニターが初めて搭載されたのは、1991(平成3)年のことで、ANA国際線で現在の「ビジネスクラス」に相当する「CLUB ANA」で装備されたそう。その後、国際線のエコノミークラスにも2002(平成14)年から個人モニターが導入され、2017(平成29)年には、エアバスA321neo型機に国内線用の機材としては初めて全席に個人モニターが搭載されたとのことです。

 2020年9月時点のANAでは、国際線用のボーイング777-300ERのうち7機が4K対応のモニターが備わる最新上位クラス「The Suite」「The Room」仕様であるほか、国内線用の主力機のひとつ、ボーイング777-200のうち4機が、全席に個人モニター搭載の内装となるなど、年を追うごとに座席に搭載されるエンターテインメントシステムの充実度アップが図られているようです。

 なお、全クラスで個人モニターを世界初導入したのは、イギリスのヴァージンアトランティック航空とされています。また、国内航空会社の国内線用の機材で全席モニターを装備したのは、かつてのJAS(日本エアシステム、2004年にJALと合併)の、「レインボーセブン」ことボーイング777型機で、その導入は1997(平成9)年のことでした。