かつては多く存在したビュフェ車両。そのひとつが特急「36ぷらす3」で復活しました。九州の味覚を楽しめるのも魅力ですが、「ビュフェ車両という空間」と、そこで過ごす時間も、大きな魅力ではないでしょうか。

17年ぶりに復活した787系のビュフェ車両

 かつて、新幹線をはじめ多くの優等列車に連結されていた、食堂車やビュフェといった列車内の供食設備。

 そのひとつが2020年10月、復活しました。JR九州が運転する特急「36ぷらす3」です。

 1992(平成4)年、博多〜西鹿児島(現・鹿児島中央)間を結ぶ特急「つばめ」として、787系特急形電車がビュフェを備えて登場します。

 しかし九州新幹線の部分開業をひかえ、ビュフェの営業は2003(平成15)年に終了。その場所は普通座席に改造されました。

 このたび走り出した特急「36ぷらす3」は、その787系電車をリニューアル。九州各地を走ってその魅力を伝えるD&S列車(観光列車)に生まれ変わりました。そこで、ビュフェも復活したのです。

 特急「36ぷらす3」のビュフェでは、「鹿児島・たか森カフェ 36ぷらす3オリジナル 黒い鶏カレー」「五島手延べうどん『七椿』ミニうどん」といった軽食、日本酒、焼酎、ワイン、「スコール」「平兵衛酢ドリンク」といったソフトドリンク、「あまおうポン菓子」といった九州各地の味覚が用意されていました。九州各地のお土産類もあります。

「列車の長所」を生かしている特急「36ぷらす3」

 この特急「36ぷらす3」のビュフェを体験しましたが、強く感じたのは、飲食の魅力に加え、「ビュフェという空間」の魅力でした。

 特急「36ぷらす3」のビュフェは車両の半分(10m)程度の広さがあり、テーブルも用意。その場で、移りゆく車窓を眺めながらその地域の味覚を堪能できるほか、(コロナに配慮しつつ)談笑しながら家族や仲間と旅のひとときを楽しめ、その輪が居合わせた人に広がることも――。

 今回、私(恵 知仁:鉄道ライター)は報道向けの試乗会で体験したのですが、宮崎空港駅からの取材をひととおり終えたのち、終着の別府駅までしばらく時間があったのでビュフェに行くと、知った顔がちらほら。自然と杯を交わし、この特急「36ぷらす3」の旅について語り合いました。

 その場に居合わせた鉄道写真家の村上悠太さんも、「こうやって『旅の終わり』を締められるのは素晴らしい」と大満足の様子。

 JR九州によると、新たに特急「36ぷらす3」を走らせるにあたって、「車内を動き回れるという列車の長所」を生かせるよう、「楽しい雰囲気」を乗客同士で共有できるよう、このビュフェ、そして隣の車両にマルチサロンを設けたそうです。

 ちなみに特急「36ぷらす3」のビュフェは、ウイルスに強いという銅板を床や壁にはっています。