首都高速1号羽田線の羽田トンネル近くに「羽田可動橋」という橋があります。桁が水平に旋回するという珍しいタイプの橋ですが、20年以上使われていません。再び「回る」日は来るのでしょうか。

川をくぐる本線トンネルに並行して架橋

 東京の羽田空港に面する海老取川に、変わった形の橋が架かっています。しかし橋と言っても、ぶつ切りになった橋桁が岸と並行になっており、このままではクルマも人も渡れません。

 この橋は首都高速1号羽田線の「羽田可動橋」です。2本の桁が旋回して1本につながると1本の橋になり、クルマが渡れるようになります。しかし羽田線の本線は橋を渡らず、並行する羽田トンネルで川をくぐっています。ではこの可動橋は何のために設けられたのでしょうか。

 羽田可動橋は、川の南側にある空港入口(現・空港西入口)のランプウェー(流入路)として使われていました。本線は羽田トンネル付近の勾配でクルマの速度が低下し、渋滞がしばしば発生していたため、空港西入口からのクルマはトンネルの手前でなく、可動橋で川を渡った対岸の本線トンネル出口で合流させていたのです。

「可動橋」を採用した理由と運用停止のきっかけ

 しかしここは、かつて川上にあった製鋼所へ行き来する船のために桁下の空間を確保しつつ、しかし空港に近いため高さ制限を侵さない必要もあることから、橋桁が跳ね上がる跳開橋などではなく、橋桁が回転する旋回橋を採用。船が川を通るときは、クルマは橋の手前で本線に合流していました。

 そんな羽田可動橋に1998(平成10)年、転機が訪れます。この年に運用を停止し、橋桁は分かれたままになったのです。ランプウェーの合流は橋の手前のトンネル入口に変りました。

 きっかけはその4年前の1994(平成6)年、湾岸線の延伸でした。都心と横浜中心部を結ぶ1号羽田線・K1横羽線に並行する形で、湾岸線の空港中央〜大黒JCT間16.4kmが開通。これにより交通が分散し、羽田線の羽田トンネル付近の渋滞もほぼ解消されたのです。首都高速によると1997(平成9)年12月の東京湾アクアライン開通後も渋滞が発生していないことから、羽田可動橋の運用を1998(平成10)年に停止したといいます。

 羽田可動橋が運用を停止しておよそ20年。その間の2010(平成22)年には、羽田空港で国際線新ターミナル(現、第3ターミナル)が開業し、近くにある空港西出入口も再び重要度が増してきていますが、可動橋は名前とは裏腹に動かないまま時間が経過しています。首都高速は、撤去費用や今後の利用の可能性を考慮し、撤去していないとしています。