日本の空の玄関のひとつ、成田空港には他空港にないようなユニークルールがいくつも存在。そのなかのひとつが、南側から着陸するときに「太平洋上で車輪を降ろして陸地へ進入」というもの。パイロットにその理由を聞きました。

南側からの着陸時に発生! 成田特有のローカルルール

 日本の空の玄関のひとつ、成田空港は多くのユニークな運用やルールを有している空港でもあります。たとえば同空港の職員が航空管制を実施する施設「ランプコントロール」を有していることや、燃料を長さ約50kmのパイプで千葉港(千葉県千葉市)から輸送していることなどが代表的です。

 ユニークな運用は飛行機の飛ばし方に関しても存在します。そのひとつが、空港からだいぶ離れた場所で降着装置を降ろすこと。それは成田に北風などが吹き、南側(滑走路34L/34R)へ着陸するため、九十九里浜内陸を通る時に行われます。

 同空港を拠点とするLCC(格安航空会社)のジェットスター・ジャパンのパイロットは、その特徴を次のように話します。「九十九里浜の方向から着陸する飛行機は降下時、陸地に入るまでに車輪(脚)を降ろしてくださいというルールがあります」。

 車輪を下ろすタイミングは状況によって異なるそうですが、このようなルールは「世界でも有数の変わったもの」と同パイロットは話します。

なぜ遠く離れた場所で脚出すの? 背景には住民への配慮

 そのルールが定められた理由について、ジェットスター・ジャパンのパイロットは次のように話します。「とくに長距離国際線で飛んできた飛行機は、車輪のあいだに氷が付着していることもあります。そのため、海の上で氷を落としてきてから地上に降りてくるように……というルールを成田空港側が定めているのです」。

 確かに国内で内陸に位置していて、かつ長距離便が多い空港は国内では成田空港のみ。ほかの空港とは異なる特殊な環境といえるでしょう。

 成田空港を運営するNAA(成田国際空港)は「落下物は多くの場合、氷の塊です。航空機から漏れた水が上空で凍って、それが着陸直前に落ちてくるというケースです」と公開しています。

 このルールが定められた背景には、1989(平成元)年度に19件、翌1990(平成2)年度には17件の落下物が発生したなかで、南側からの着陸時がいずれも16件と大半を占めたのが理由です(四国新聞社2012年3月17日付)。NAAは、それを踏まえ「太平洋上で車輪をおろす」ように定めますが、以後この件数は「大幅に減り、1年に2件ほどになっている」としています。

 なお、成田空港の運航に詳しい人物によると、「九十九里浜で着陸する飛行機が洋上で車輪を降ろしているかチェックがあり、もし実施していない場合は、航空会社側に通告が行くようになっていると」のこと。この人物は「ただ、長いあいだ脚を出して飛ぶのは、燃費も下がるほか、環境にもよくないのでは、という懸念もあります」とも話します。