JR東海道本線の東京〜大垣間を結ぶ臨時夜行快速「ムーンライトながら」の運行が途絶えています。新型コロナウイルス感染拡大の影響などが背景ですが、さらに使用車両の定期運用引退も控えており、先行きは不透明です。

「青春18きっぷ」旅の便利な相棒、行く末は…

 臨時夜行快速「ムーンライトながら」(以下「ながら」)が、2020年3月から運行されていません。「ながら」はJR東海道本線の東京〜大垣間を走る定期列車でしたが、2009(平成21)年以降は臨時列車として、主に夏休みや年末年始の時期にあわせて運転されてきました。しかし2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより、夏は運転されず、冬も運転が見送られています。

「ながら」は、国内で数を減らしつつある夜行列車の一つとして運転されてきました。特徴は「安く乗れる」ことです。夜に走る列車ですが、車内に寝台(ベッド)はなく、あるのは他の特急と同様、座席だけ。その分、寝台券は不要で、運賃のほかは指定席券(520円)だけで乗車が可能です。特急用の車両が使われていますが、特急券もいりません。

 そのため、普通・快速列車が1日乗り放題になる「青春18きっぷ」のユーザーからは重宝されてきました。特に東京を出発する下りは、「18きっぷ」を夜0時過ぎから使えて、そのうえ寝ている間に移動でき、終点までの長距離にわたり乗り換えも不要。そのため近畿や北陸・中国・四国方面へ向かう際の便利な列車として認知され、「18きっぷ」と「ながら」はセットで語られることも多くなります。

「乗りものニュース」が2019年11月に実施した「18きっぷ」に関するアンケートでは、「18きっぷ」の旅行で利用したことのあるものとして「ながら」を挙げた人は53.9%でした。

次々と姿消した夜行快速「ムーンライト」シリーズ

「18きっぷ」は2020年の夏も年末年始も例年通り発売されましたが、いわば“コンビ”の相方である「ながら」は運休が続きます。

 ところでこの、相方である「ムーンライト」を冠する夜行快速列車は「ながら」以外にもいくつか存在しました。新宿〜新潟・村上間を走った「ムーンライトえちご」(2014年)、京都〜博多間などを電気機関車と客車の編成で結んだ「ムーンライト九州」(2009年)、急行「アルプス」の後身で中央本線を走った「ムーンライト信州」(2018年)などです(カッコ内は最後に運行された年)。

 2020年4月に「乗りものニュース」が実施した、乗りたかったけど結局乗れずじまいだった列車に関するアンケートでは、数々の寝台特急とともに、快速「ムーンライト九州」(25〜29歳、男性)や、京都・大阪から四国へ向かう快速「ムーンライト高知・松山」(45〜49歳、男性)といった回答も。夜行快速「ムーンライト」シリーズは、国内の鉄道旅行で一定の存在感を放っていました。

「ながら」に使われてきた185系特急形電車は、2021年3月13日(土)のダイヤ改正で、特急「踊り子」の定期運用から引退します。車両はデビューから約40年が経過しており老朽化も進行。コロナの流行とともに、使用車両の“異動”もあいまって、「ながら」の行く末は極めて不透明です。