渋谷駅周辺の街の風景は再開発事業の進行とともに、2020年の1年間で大きく変化しました。駅の改良だけでなく、駅周辺も従来より利便性が高まっています。

再開発が形になってきた渋谷駅

 再開発事業の進行とともに、渋谷駅周辺の街の風景は刻一刻と変化を続けています。その中でも2020年は渋谷駅に関して大きな変化がいくつかあり、利用客の動線も以前と様変わりしました。

●1月 銀座線渋谷駅がリニューアル
 1月3日、新しい銀座線渋谷駅が開業。JR渋谷駅西側の東急百貨店3階にあったホームは、JR駅の東側、明治通り上空へ移転されました。

 ちょっと近未来的なM字型の屋根が特徴のホームは、以前より拡張され、駅のバリアフリー化も図ました。また、移転により駅東側へのアクセスや他の鉄道路線との乗り換えも便利に。東急百貨店を経由することなく、渋谷ヒカリエや東急、東京メトロの地下コンコースへ直接移動することができます。

●3月 東急百貨店が閉館
 3月31日、東急百貨店 東急東横店が閉店しました。1934(昭和9)年に開業し、1938(昭和13)年には西館が完成、先述のとおり3階に銀座線のホームがある特徴的な構造でした。

 うち東館は先行して2013(平成25)年、東館に閉館しており、解体された跡地には2019年に渋谷スクランブルスクエアが完成しました。今回は、残っていた西館と南館が閉館。解体後は、渋谷スクランブルスクエアの第2期ビルが建てられ、2027年に完成予定です。

●6月 埼京線ホームが山手線と同じ位置に
 6月1日、JR渋谷駅の埼京線・湘南新宿ラインの新ホームが使用開始。旧ホームから350m北に移転され、山手線と隣合う位置になりました。

 これまで埼京線ホームは山手線ホームに対し「駅一つ分」ズレた配置になっており、「南渋谷駅」と揶揄されることも。他の鉄道路線との乗り換えには時間を要するなど、不便な構造になっていました。

 このようなホーム配置になっていたのは、かつて貨物線であった線路を埼京線として旅客開業する際、山手線の隣には東急のターミナルビルなどがあり、ホームを設置するスペースがなかったのが理由です。山手線ホーム周辺の再開発によってスペースが生まれたため、埼京線ホーム開業から24年目にしてようやく移転が実現しました。

空中でつながる渋谷駅周辺

 駅構造だけでなく、周辺のアクセスも向上しました。

●7月 西口歩道橋がリニューアル
 7月31日、渋谷駅西口の国道246号交差点に架かっている西口歩道橋の架け替え工事が完了。歩道橋というよりペデストリアンデッキのように幅が広く、移動しやすい空間になりました。また、エレベーターが設置されバリアフリーとなり、北側で渋谷フクラス(旧・東急プラザ)とも接続しました。

●9月 山手線直結の玉川改札、閉鎖
 9月25日、JR渋谷駅の玉川改札が使用終了となり、閉鎖されました。玉川改札は山手線外回り(1番線)のホームに直結し、改札を抜けるとすぐ新宿方面の電車に乗ることができました。

「玉川改札」の名称は、かつて隣接する東急百貨店西館(当時は「玉電ビル」)2階から発着していた「東急玉川線」に由来します。玉川線は1969(昭和44)年に廃止、1977(昭和52)年に同じルートで地下線として「新玉川線」(現在の田園都市線)が開業します。

●9月 「しぶにしデッキ」「渋谷フクラス接続デッキ」供用開始
 上述の玉川改札の閉鎖と同時に、新たな通路である「しぶにしデッキ」「渋谷フクラス接続デッキ」が開通しました。

 これまでJR渋谷駅と京王井の頭線の駅は、東急百貨店西館と渋谷マークシティとをつなぐ連絡通路で結ばれていました。しかし東急百貨店西館が閉館となったため、西館の南側を回り込むように新たに建設されたのが「しぶにしデッキ」です。既存の連絡通路に展示された岡本太郎の作品「明日の神話」の真下に、新デッキの開口部があります。

「渋谷フクラス接続デッキ」は、「しぶにしデッキ」と渋谷フクラスを結ぶ通路です。これまでJR渋谷駅から渋谷フクラスへ向かう際は、ハチ公改札もしくは東急百貨店内を経由していったん地上の信号を渡る必要がありましたが、接続デッキの開通で駅と直結しました。このように、JR渋谷駅から周辺へ通じる立体的な移動空間の整備も進みました。

渋谷駅再開発の今後

 JR渋谷駅周辺に残る再開発は、先述の東急百貨店西館跡地が中心となります。2027年を目途に進行している渋谷スクランブルスクエア第2期工事の完了とともに、JRを跨ぐ形で駅の東西地区を結ぶ新たな動線が誕生。複雑な位置関係にあるJRの改札口は1階と3階でよりシンプルに集約され、利便性が高まる予定です。