中国道の大阪近郊部、吹田JCT〜神戸JCT間のリニューアル工事が2021年度から本格化します。向こう2年で計9か月、一部区間を終日通行止めにして工事を行うという異例の規模で、社会的な影響は必至。なぜそうするのでしょうか。

車線規制もしつつ、「完全に止める」工事も

 開通から約半世紀が経過した大阪近郊の中国道 吹田JCT〜神戸JCT間で、老朽化にともなうリニューアル工事が2021年度から本格化します。2月8日にNEXCO西日本から発表された工事にともなう規制の概要は、大きな影響が予想されるものでした。

 うち吹田JCT〜中国池田IC間は、2021年度から向こう2年間で、上下線を1.5か月間、終日通行止めにする工事を計6回、のべ9か月間実施するといいます。中国池田IC〜宝塚IC間は、2021年度から2024年度夏までの足掛け3年半、通年で6車線を4車線(片側3車線→2車線)に規制して工事を行うとのこと。宝塚IC〜神戸JCT間についても追って詳細が発表されます。

 いずれもゴールデンウイークやお盆、年末年始といった交通混雑期は規制を実施しないとしており、NEXCO西日本関西支社は、社会的な影響をなるべく抑えるよう工事を進めるといいます。

 このような道路インフラの老朽化と、それにともなうリニューアル工事は、全国的に進められていますが、たとえば東名高速などでは車線規制を行い、クルマの流れは確保しつつの工事が基本。影響が大きい終日通行止めはなるべく避けられます。

 一方で阪神高速は、2020年11月にも1号環状線を10日間通行止めにしてリニューアル工事を実施するなど、終日通行止め工事の実績を重ねてきました。しかし、それでも年に数日間、かつ、その影響をカバーするために大阪府警などとも連携し、周到な準備と広報活動を行っています。

 それだけに、NEXCO西日本が行う中国道リニューアル工事の社会的な影響は、計り知れないものがあります。

なぜそんなに「止める」のか

 中国道リニューアル工事について、NEXCO西日本関西支社に話を聞きました。

――吹田JCT〜中国池田ICは計9か月の終日通行止めとなりますが、なぜ、これほど集中的に行うのでしょうか?

 この区間は一部高架橋の橋桁を架け替える工事を行います。架け替える橋の延長が約5kmと長く、また主要一般道や鉄道と交差、あるいは並走するなどしており、これまでにない厳しい環境下での工事です。そこで、迂回路の有無や周辺道路を含めた渋滞予測、沿道状況、工事規模などを踏まえ、施工方法や規制方法を検討し、結果として上下線とも一定期間、複数回、終日通行止めにして集中的に工事を行う方式を採用することとしました。

――規制する期間が短くなる、ということでしょうか?

 はい。車線規制(対面通行規制)で工事を行う場合は、上下線の終日通行止めで行う場合と比較して5倍程度の日数が必要となります。1日約5万台と交通量の多いこの区間では、通行止めによって短い期間で工事を完了させた方が、渋滞による社会的影響を少なくできると考えています。

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 今回の工事は、橋脚を残して橋桁をそっくり取り替えるという、まさに「造り替え」に近い内容とのこと。「終日通行止めならば工期が車線規制工事の約5分の1」になるということは、通常ならば単純に考えて2か年の5倍、計10年かかる工事を2年で終わらせるものだといいます。

 この吹田JCT〜中国池田IC間は、2020年6月にも約16日間、上下線とも終日通行止めにして工事が行われました。このときは約50mの橋(上り御堂筋橋)を架け替えましたが、このときに「予定どおりに作業を進めることができるか」などの計画工程の妥当性や、通行止め区間周辺の高速道路や一般道の交通状況、広報効果などの確認も行ったといいます。

 このときは、一定程度の割合で新名神(高槻IC〜神戸JCT)などへの迂回や、クルマ利用の自粛が認められたとのこと。折しもコロナ禍で交通量が減った時期ではありましたが、「総じて予測以下の混雑に抑えることができ、大きな混乱は生じなかったと考えています」ということです。

車線規制3年半の中国池田〜宝塚間は?

 一方の中国池田IC〜宝塚IC間は、3年半もの長きにわたり車線規制工事が行われます。阪神高速11号池田線からの流入が多い中国池田ICからは交通量が増え、ここから車線も6車線になることなどを考慮して、終日通行止めではない形を選択したとのこと。

「工事に際しては、吹田JCTを介して中国道と近畿道を相互利用していた交通が、阪神高速池田線や神戸線に迂回し、大阪都心部を通過する交通が増えると予測しています。これらの交通に対しては、新名神に迂回して頂くような対策を講じ、大阪都心部への車の流入を抑えていきたいと考えています」(NEXCO西日本関西支社)

 具体的には、新名神へ迂回しても料金が割高にならないような調整や、迂回利用により指定のSAで使用できる電子クーポンの発行などを予定しているそうです。

 今回のリニューアル工事は、新名神の高槻IC〜神戸JCT間が2018年に開通し、「ダブルネットワーク」が完成したことで可能になったとNEXCO西日本関西支社は話します。同社管内では名神や近畿道の一部など、中国道より古い区間が存在しますが、現在、建設工事が進められている新名神の滋賀・京都・大阪(高槻)をつなぐ区間が完成すれば、名神などでも中国道の同様の終日通行止めによるリニューアル工事を行うことも、選択肢のひとつだといいます。

 なお中国道の工事では、2020年6月の実施時と同様に、代表地点間の「リアルタイム経路別所要時間情報」や「前日までの経路別・時間帯別所要時間情報」を専用ウェブサイトや高速道路上の情報板などで提供し、迂回やピークシフトを促進させる取り組みを行う予定だということです。