新型コロナ感染拡大により、使用機材の見直しなどを図る航空業界。ルフトハンザでは、A380やボーイング747「ジャンボ」の一部だけでなく、「地下トイレ」をもつエアバスA340-600も退役予定としています。どのような機体なのでしょうか。

全長で「世界最大」だったことも

 新型コロナウイルス感染拡大により航空需要が大きく減ったことで、これまで世界各国で用いられていたいわゆる「大型機」が、地上待機となったり、退役が早まったりしています。

 各国の航空会社で“整理対象”となってしまっている機体で代表的なものが、総2階建てのエアバスA380や、「ジャンボジェット」の名で広く知られているボーイング747のベストセラータイプ、747-400などですが、それ以外にも特徴ある大型機が姿を消すことになりそうです。

 ドイツの大手航空会社、ルフトハンザ航空などを傘下にもつルフトハンザグループは、2020年3月に年次レポートを発表しましたが、そのなかには同グループから8タイプの国際線機材を、近い将来退役させる方針が記されていました。そこに、先述のA380や747-400とともに記載されていたのが、「エアバスA340-600」です。

 ルフトハンザ航空は、エアバス社の4発ジェット機「A340」シリーズを2タイプ保有。ラインナップは、初期タイプのA340-300、そして長胴タイプの派生形、A340-600の2種類で、報告書によるといずれも退役の対象となっています。

 とくにA340-600は、A340シリーズでも、胴体を延長することでキャパシティの増大を図ったタイプで、その全長は約75mと、A380(72.7m)や747-400(70.6m)を上回るロング機です。同機は「ジャンボジェット」の最新派生型、747-8(76.3m)のデビューまで、世界最大の旅客機として記録されていたほど。つまりA340-600は、1階建ての4発機という、いまや珍しい旅客機のスタイルのなかでも、異色の存在といえるでしょう。

地下トイレ、どのようなメリットが

 A340-600自体も、現代ではユニークな旅客機といえますが、なかでもルフトハンザ航空の機体は、一風変わった客室レイアウトを採用しています。

 通常の旅客機であれば、客室の各区画のあいだにトイレが設置されているのが一般的です。それに対し同社のA340-600のトイレは、客室から階段で下に降りたところにも設置されています。いわば、世界でも珍しい「地下トイレ」を備えた旅客機なのです。

 機内のレイアウトは航空会社が選ぶことができますが、同モデルを導入した会社のなかでもこの地下トイレを採用した航空会社は、ほぼ類をみません。このようなトイレ配置を採用した経緯について同社は明言していませんが、一般的にこのレイアウトでは、トイレを設置するスペースをそのまま座席にできることから、席数を増やせる、というメリットが考えられるでしょう。

 なおルフトハンザグループでは2021年3月現在、10機のA340-600が地上で長期保管中となっているそうで、これらは、このまま飛ばずに退役となる可能性があります。

 資料によると、同グループの国際線機材は今後、機齢の若い機体や双発機を中心に集約する計画といいます。導入されてから、まだ年数がそれほど経っていない747-8は今後も用いられるほか、777-300、エアバスA350-900などに絞られるようです。他方で将来的には、ボーイング787-9、777-9Xといった新鋭機の投入も計画されています。

 ちなみに777-9Xは、2020年初頭に初飛行を完了したものの、まだ航空会社でのデビューはしていません。ただ、その全長は77m。現“世界最長旅客機”の747-8をも上回ります。