信号機の維持にもお金がかかります。全国で不要な信号機を撤去する方針が示されていますが、なかでも特に撤去が推進されているものが、常時点滅する一灯式信号機です。もはや事故防止に役立っていないとの見解もあります。

一時停止に置き換えたら事故減少も

 道路整備の進展にともない、交通信号機の数も増え続けていますが、一方でその維持管理コストが課題になっています。老朽化の問題もあり、全国で不要な信号機の撤去が検討されるなか、特に撤去が推進されているものが、「一灯式信号機」です。

 信号機の撤去については警察庁は、基準に該当するものを選別したうえで撤去を推進するよう通達していますが、赤もしくは黄を常時点滅させる一灯式信号機については、「原則として『現状で撤去等することが妥当であると考えられる信号機』に分類すること」とされています。このため、近いうちに一灯式を全廃させる方針を固めている地域もあります。

 そのひとつが佐賀県警です。2021年1月20日付けの「佐賀新聞LIVE」は、県警が2025年度末を目途に県内の34基を全て撤去し、標識やカラー舗装などに切り替える旨を報じています。一灯式信号の交差点では信号無視による事故も多く、「交通事故の抑止効果は薄い」との県警のコメントも伝えています。

 徳島県警も同様の方針で、徳島市内の1か所で一灯式信号機を撤去し、夜間に発光する標識を用いた一時停止規制に置き換えたところ、事故が減少したとの検証結果もあります。

 点滅の意味があまり浸透していない――徳島県警は以前、このように話していました。黄色の点滅は「注意して進め」、赤色の点滅は「一時停止」ですが、点滅信号となると「赤点滅も徐行でいいのでは」などと迷う人がいるのだそうです。

「一灯式信号」そもそもの目的は

 全国道路標識・標示業協会の調査資料によると、一灯式信号はもともと、住宅街などの小さな交差点における交通事故の防止を目的としたもの。交差点の識別を向上させるとともに、黄色点滅は主道路、赤点滅は従道路と、道路の主従関係を明確にする狙いがありました。

 その多くは、一灯式信号機の設置基準が定められた平成の初期に設けられています。全国道路標識・標示業協会の調査資料は1999(平成11)のものですが、当時から、一灯式信号機が設置された交差点においても事故が多発しており、信号単独では効果を期待できないとされています。

 そしていま、一灯式信号機の多くが設置後20年から30年を経て、老朽化も顕在化しているというわけです。災害による倒壊や、停電などで信号が点滅しなくなることも、多くの地域でデメリットとして挙げられています。

 ただ、撤去に際しては地元との調整も必要で、たとえば1月24日付けの「新潟日報モア」は、事故が増えるという懸念から、調整が長引くケースもあると報じています。ある警察関係者は、高齢者を中心に「信号機は重要」と強く認識している人もいるといい、地元への丁寧な説明が求められます。

 昔は光るものといえば信号しかなかったと、前出の関係者は話します。しかし現在ではLEDで照らす標識や、カラー舗装など、よりわかりやすい対策もあるとのことです。