はとバスが屋根のないオープントップバスとして、新型の2階建てバスを導入しました。いわゆる「ロンドンバス」と同メーカーの英国製車両で、ボディの「軽さ」が様々なメリットをもたらしています。

はとバス主力商品の「オープントップバス」専用車

 はとバスが2021年4月3日(土)から、新型の2階建てオープントップ(屋根なし)バスの運行を始めます。それに先立ち2日(金)に試乗会が行われました。

 新型車両の通称名は「エクリプス・ジェミニ3」。シャシとエンジンはスウェーデンのスカニア製、ボディはイギリスのバンフォード・バスカンパニー製です。

 北アイルランドに拠点を置くバンフォードは、イギリスのいわゆる「ロンドンバス」のメーカーだったライトバスを2019年に買収した会社であり、今回の車両は「日本版ロンドンバス」ともいえなくもありません。ただ、導入にあたっては日本の規格に合わせるべく、車高を低く、車幅をやや小さくするなど様々な改良が加えられています。

 また今回の車両は、はとバスで初となる「オープントップバスの新車」です。

 日本で走るオープントップバスの多くは、既存の2階建てバスを改造したもので、はとバスは三菱ふそう「エアロキング」の改造車を保有しています。ただ同車種は2010(平成22)年に製造を終了し、現在、国産の2階建てバスは製造されていません。

 はとバスが改造車によるオープントップバスを走らせ始めたのは2009(平成21)年からですが、国産2階建てバスの製造が途絶えたころから、海外に目を向け新車の導入を検討してきたといいます。

 というのも、オープントップバスは今や、はとバスの主力商品なのだとか。今回の車両は既存車の置き換えではなく「増備」だといいます。

車体の「軽さ」がもたらす多大なメリット

 はとバスは車両の特徴として、アルミやFRPを多用したボディの軽量さを挙げます。2階建てバスでありながら、現行の一般的な大型観光バスよりも軽いのです。

 ジェイ・バスが製造する日野といすゞの大型観光バスが車両総重量1万6190kgなのに対し、「エクリプス・ジェミニ3」は1万5460kgです。なおかつ、大型観光バスよりも小回りが効き、都内の走行には優れているとのこと。小回り性能の目安となる最小回転半径は、ジェイ・バスの大型観光バスが8700mmなのに対し、「エクリプス・ジェミニ3」は8200mmとなっています。

 小回りが効く秘密は、後輪が1軸である点だといいます。現在日本で走る2階建てバスの後輪は、車両の安定性を考慮して2軸になっていますが、「エクリプス・ジェミニ3」は、その軽量さゆえに1軸で十分安定するそう。1軸であれば当然ながら維持管理上もメリットは多大です。

 ちなみに最大安定傾斜角度、つまり車体の傾斜に対してどれだけ安定していられるかという点も、既存の2階建てバスはおろか、ジェイ・バスの大型観光バスよりも優れているそう。空車時の最大安定傾斜角度は、2階建てバスの新車として導入が進むスカニアの「アストロメガ」が35.22度、ジェイ・バスの大型観光バスが39.00度なのに対し、「エクリプス・ジェミニ3」は41.22度まで耐えられるといいます。

 車体のメーカー選定にあたっては、バンフォード(旧ライトバス)以外にもいくつかの候補があったそうですが、最終的に「品質がいちばんよかった」(はとバス)との理由で選んだそうです。

 ちなみに、現在様々な事業者で導入が進むスカニアの2階建てバス「アストロメガ」ももともとは、2階建てバスの新車をどうしても欲しかったはとバスと、スカニア、ボディメーカーのバンホール(ベルギー)が共同で日本仕様に作り上げたもの。それをもとに、スカニアが拡販に努めています。今回の車両はオープントップバス専用車ではありますが、同様に普及していくケースもあり得るのではないかということでした。