新型コロナウイルス感染拡大で、2階建て超大型機の活躍の場が減っているなか、依然総2階建ての「エアバスA380」を主力機に据えているのがエミレーツ航空です。今後もその方針は変わらないのでしょうか。日本支店長に話を聞きました。

世界中で長期駐機&早期退役相次ぐ「A380」

 2020年から世界の航空業界を混乱の渦に陥れた新型コロナウイルス感染拡大により、航空会社それぞれが事業計画を見直し、その状況を乗り切ろうとしています。そのなかで、一種のトレンドとなっているのが、使用する飛行機を座席数の少ない小型のものにすることです。

 この影響で、いわゆる大型旅客機はどんどんその活躍の場を狭めています。たとえば「ジャンボ・ジェット」の愛称を持つボーイング747、そして総2階建ての胴体をもつエアバスA380などがこれにあたります。A380に関しては、2007(平成19)年デビューと、まだ製造年数が比較的浅いモデルにも関わらず、ANA(全日空)やカンタス航空では定期便運用から外れており、エールフランス航空では2020年に、全機が前倒しで退役しています。

 このような状況下、依然としてA380を主力機として使用する方針を示している航空会社が、アラブ首長国連邦のドバイに本拠を構えるエミレーツ航空です。2021年1月に同社の日本支店長に着任したサティシュ・セティ氏がインタビューに応じ、同型機の今後の方針について説明しています。

「エミレーツ航空とエアバスA380の関係は、2000年7月に初号機を契約して以来、20年以上続いており、(2021年1月現在で)A380型機の保有機数は115機以上になりました。A380型機は今も昔も、私たちにとって重要な航空機です。サプライチェーンが許す限り運航を続けていきます」

 今後もエミレーツ航空はA380を主力機とする方針に変更はなさそうです。

エミレーツ航空はなぜA380の運航を続けるのか

 エミレーツ航空のセティ日本支店長によると、A380のフライトはコロナ禍でも需要があるとのこと。「2008年以降、1億人以上のお客様にご利用いただいており、お客様に愛され続けている航空機です」と胸を張ります。

「当社のA380は、その広さ、静けさ、そして全てのキャビンでの快適さから、多くのお客様がわざわざ選ばれます。特に当社機はキャビンスペースを特注しており、高い天井にムード照明を取り入れたり、機内ラウンジなどの特徴的な施設を設けたりしています。ファーストクラスのシャワースパは、床暖房や豪華なアメニティ、5分間の流水機能も備えており、リフレッシュして次の旅に備えるにはこれ以上のものはありません。これはまさに航空業界の金字塔です」(サティシュ・セティ日本支店長)

 このファーストクラスは「空飛ぶ宮殿」と異名を持つほど。エミレーツのA380でしか得られない搭乗体験を求める利用者の根強い需要が伺えます。

 またA380、4発機ではあるものの、その環境性能も特筆ものだといいます。

「A380は、現在飛んでいる旅客機のなかで、最も環境に配慮したもののひとつです。ほとんどのハイブリッド自動車よりも燃費が良く、A380の次に大きな旅客機と比較すると、1席あたりの燃料消費量が最大で20%も少なくなっています。また、離陸時の騒音は他の航空機の半分以下で、静粛性にも優れています」(セティ日本支店長)

 新型コロナウイルス感染拡大前のエミレーツは、成田や関西空港にもA380を投入していましたが、2021年4月現在の投入路線は、ロンドン(ヒースロー)、パリ、広州など9都市にとどまっています。ただ、2021年末までには、この運航範囲を広げることを目指しているそうです。また今後、A380をさらに5機発注しているといい、通路を2本持つ大型機のエアバスA350、ボーイング777X(現在開発中)も発注済みとのこと。これら2モデルは2024年の第1四半期に納入される予定といいます。

 A380以外も含め「エミレーツ航空=大型機」の図式は、アフターコロナの世界でも、変わることはなさそうです。