首都圏のJR駅ホームで電光掲示板を見ると、列車接近時に「列車がまいります」「電車がまいります」と2種類の表示があることに気づきます。これにはもちろん使い分けがあり、実は表示だけでなく、発車間際に鳴る音でも区別されています。

旧国鉄時代からの名残

 首都圏のJR駅でホームにある電光掲示板を見ると、列車接近時に「列車がまいります」「電車がまいります」(もしくは、「通過します」)と、異なる文言の表示が見られます。列車と電車、表示の違いはどこから来るのでしょうか。

 広辞苑を引くと、列車は「旅客・貨物の輸送のために連結された鉄道車両」とあります。「電車」はこれに含まれ、列車のうち動力に電気を用いる鉄道車両のことです。

 ここでJR常磐線の我孫子駅(千葉県我孫子市)を例に挙げます。同駅を発着する定期列車は全て電車ですが、例えば5・6番線を見ると、特急や快速が発着・通過する5番線は「列車が〜」、各駅停車が発着する6番線は「電車が〜」と表示されます。

 これは運行管理上、中・長距離の特急や貨物、快速が走る線路を「列車線」、近距離の各駅停車や快速が走る線路を「電車線」と区分することに由来します。

 我孫子駅では、「ひたち」などの特急や上野東京ラインを経由する快速が列車線を、地下鉄千代田線に直通する各駅停車が電車線を走っています。昭和の旧国鉄時代は、近距離を走る列車は電化されていても、夜行列車を含む長距離列車は蒸気機関車や気動車が主流だった名残といえるでしょう。

 ちなみに駅での発着時刻に着目すると、列車線に比べ駅間距離の短い電車線では主要駅を除き、発着時刻の目安となる「標準時刻」しか定められていません。これは簡単にいうと「A〜D駅間を10分で運行せよ」といった規定になっており、運行状況によっては途中のB・C駅で、発着時刻が多少変化するというものです。

 対する列車線の駅は原則、全ての駅で秒単位の発着時刻が決められています。「採時駅」といい、ここでは時間調整を行うこともあります。

 先述した常磐線の快速のほか、東海道線や宇都宮線など列車線が通る採時駅では、発車メロディが鳴り終わった後に「ジリリリリ……」と別のベルが鳴ることがあります。これは駅係員が出発指示合図器を操作し、車掌に発車時刻を知らせているのです。