現在の京成東成田駅には、30年前に使われなくなった「スカイライナー」専用ホームが、「昭和」の雰囲気を残したまま令和のいまも存在。通常は非公開であるそのエリアを取材すると、看板などにも往時のものが多数ありました。

成田新幹線計画の中止で

 日本の空の玄関である成田空港。その地下には、「昭和」がそのまま残されたタイムカプセルのような場所があります。

 現在の成田空港駅は、30年前の1991(平成3)年3月19日に開業したもの。それまでは、現在の京成東成田駅が「成田空港駅」を名乗っており、空港アクセス特急「スカイライナー」も、現在の東成田駅から発着していました。

 1978(昭和53)年に開業した旧成田空港駅は成田空港に直結しておらず、空港ターミナルビルまで連絡バスなどの利用が必要でした。

 そうしたなか、空港ターミナル直下に計画されていた成田新幹線用の駅スペースを、その建設中止にともない在来線へ転用することが決定。1991(平成3)年3月19日に現在の成田空港駅が開業し、同時に旧成田空港駅が東成田駅になります。

 このとき、昭和生まれの旧成田空港駅にあった「スカイライナー」用専用ホームは役目を終え、使われなくなったのですが、平成を越えて令和を迎えた現在も、当時の姿を残しているのです。

旧「スカイライナー」専用ホームへ 昔は多くの駅にあった「ラッチ」

 東成田駅の旧「スカイライナー」専用ホームは、広いコンコースの壁の向こうにあります。

 壁の扉をくぐると、昔ながらの白地に黒字の「なりたくうこう」という駅名標、かつて有人改札口で使われていた「ラッチ」(駅係員が中に入ってきっぷの確認をする箱状のもの)などが置かれていました。

 この場所は、旧「スカイライナー」専用ホームの上にあたります。かつては「スカイライナー」の改札口が置かれ、スーツケースを抱えた人が行き交ったのでしょう。現在は倉庫として使っているそうです。

女性の服装もデザインも文章も1980年代

 この「倉庫」には、昭和生まれの記者(恵 知仁:鉄道ライター)にとって懐かしいものが、色々ありました。

 そのひとつが、初代「スカイライナー」のポスター。1980年代っぽさを感じる、デザインや女性の服装。そして「上野〜成田空港―60分。上り全便、日暮里に停車。」という文字。

 現在の「スカイライナー」は、成田スカイアクセス線経由で在来線最速の160km/h運転を行い、途中2〜3駅に停まって上野〜成田空港間を44分で結びますが、当時は京成津田沼駅などを通る京成本線経由、上野〜成田空港間ノンストップで60分を要していました。そこから空港ターミナルビルへは、さらに連絡バスです。

いざ旧「スカイライナー」専用ホームへ 懐かしいジュースの看板

「倉庫」になっている改札階から旧「スカイライナー」専用ホームへ降りる階段には、懐かしい紙パック飲料「明治ブリック」の看板が掲示されていました。

 現在のそれは縦長のパッケージですが、看板はそうでないもの。デザインとあわせ、こちらも昭和〜平成初期のにおいをプンプンさせています。

 ホームへ降りると、照明はごく一部しか点いていないながら、「なりたくうこう」という白地に黒字の駅名標などが、30年前のまま残されていました。

 京成電鉄によると、これら往時のものは特に撤去する理由もないためそのままになっているそうですが、それによって、私のような昭和生まれのおじさんには旧「スカイライナー」専用ホーム、まさにタイムカプセルになっています。

 なお今回、旧成田空港駅へは京成電鉄が行ったミステリーツアーの取材で訪れました。このツアーでは、普段使っていない東成田駅の旧「スカイライナー」専用ホームに電車を入れ、そこから出発するというレアイベントなどが行われています。

京成ホームに東武特急 もはや「観光資源」?

 旧「スカイライナー」専用ホームには、30年前の「スカイライナー」時刻表や、副都心線などがまだ載っていない営団地下鉄(現在の東京メトロ)の路線図、当時デビューしたばかりだった東武特急「スペーシア」の広告看板などが残っていました。

「スペーシア」の色あせた看板を見ると、電話番号が「03-623-xxxx」となっています。東京の市内局番が全体的に4桁へ変更され、「03-3623-xxxx」などとなったのは、1991(平成3)年1月1日のこと。その年の3月にこの旧「スカイライナー」専用ホームは役目を終え、新しい成田空港駅が開業しています。

 この旧成田空港駅について、京成電鉄は近年しばしば一般向けの見学イベントを開催。京成の観光資源のように活用されている感があるので、今後も見学の機会はありそうです。

 ちなみにこの旧成田空港駅――現東成田駅には広いコンコースなどが残っており、旧「スカイライナー」専用ホームに入らなくても、昭和のにぎわいに思いをはせることは可能。旧「スカイライナー」専用ホームも、現役の東成田駅ホームから眺められます。