新型コロナ拡大の苦境が続くなか実施されたANAの株主総会。ANAの株主から幹部へ、同グループの将来について多くの質問が投げかけられました。その回答はどのようなものだったのでしょうか。

年度末には回復を見込む

 ANA(全日空)やLCC(格安航空会社)のピーチなどを傘下にもつANAホールディングスは2021年6月29日(火)、定時株主総会を開催しました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、売上は「かつて経験したことない規模で激減」(ANAホールディングス 片野坂真哉代表取締役社長)。2020年度は、純損益は4046億円のマイナスと、過去最高の損失となっています。このことから、株主への配当は無配となりました。

 旅客需要について片野坂社長は「厳しい状況が続く」としながらも、「下期以降は需要回復が見込まれ、今年度末に国内線はコロナ前の水準に、国際線は5割程度まで回復していくでしょう」とコメント。そのようななか、同グループの今後の戦略について、株主からANAの経営陣へ質問が投げかけられました。以下は一部抜粋です。

――最近だとANAとグループのLCCのピーチが、旅客の奪い合いをしているように感じるのですが、グループ内の航空会社はどう位置づけていくのでしょうか。

ANA幹部:若干の奪い合いが発生する場面もついてまわりますが、サービスや価格帯など、それぞれの航空会社が独自性を保ち、強みを活かす戦略を展開していきます。

 コロナ後の航空業界マーケットは、量や質に変化が生じるでしょう。量の面ではアジア・アセアニアの方面の需要が高くなり、質の面ではレジャー需要が増えていくと見られます。

 そこでANAでは、第3ブランドの航空会社を設立する予定です。現在ANAで使用されているボーイング787を使用し、来年度後半のサービスを開始した目指しています。単なるLCCにとどまらず、一度乗ったら忘れられないようなサービスや高品質なプロダクト(客室仕様)の提供を心がけたいです。この3つの航空会社で、市場のカバーを図ります。

機材計画に「MSJ」って書いてるけどどうするの?などの質問も

――設備投資について聞きたいです。80機の旅客機が発注リストに入っていますが、どういう根拠で決めているのですか?「三菱スペースジェット」もリストに入っているが、開発が止まっているので、発注すること自体が無駄に感じます。そのぶんのお金を、社員へ還元するなど他に回すべきではないのですか?

ANA幹部:旅客機の導入や退役については、足元の航空需要を精査し、必要に応じた数を確保ています。当期末の機数は293機ありました。今年度は32機減らし、新機材は20機入れます。つまり、全体の保有機の体制を絞った形で、コロナ禍を乗り切るということです。現在は引き渡しをメーカー側に待っていただいている旅客機もありますので、需要が回復したときに、これを活かすことで、収益増加を図りたいと考えています。

ANA幹部:航空機の導入は、様々なデータを参照しています。投資については、営業キャッシュフローの範囲内で進めていくのがここ数年の取り組みになると思います。不透明な状況下ではあるので、経営の脇を締めてやっていきますので、ご支援いただけると幸いです。

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 このほか総会では、「新卒の採用はいつから再開するのか」「ピーチ便で非常口座席(この席に座る乗客は緊急脱出時の援助を担当するため条件を満たす必要がある)にシートベルトの外し方もわからない人がいた。これはその乗客のせいではあるが、保安上の理由もあるので、広報の仕方を考えたほうがいいのではないか」「マイレージ上級会員が増えるとサービスが下がるように感じる。バラマキはやめてもらいたい」など様々な方面からの意見が挙がっています。

 今年のANAグループの株主総会は1時間29分実施され、参加者は447人となりました。なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、オンラインでもこの模様は放映。対面での総会は人数や時間を絞った形で運営されています。