国が大都市圏の高速道路においてシームレスなルート選択を促す料金体系の実現に向け、制度の見直しを進めています。しかし、会社間をまたいだ利用で都度徴収される「初乗り料金」はそのまま。どうにかならないものでしょうか。

高速道路の初乗り料金「ターミナルチャージ」

 首都高とNEXCOの路線は、料金体系も異なる「別物」――このような意識を打破して、誰もがスイスイと混雑箇所を回避したルートを選べるようになるのでしょうか。

 国土交通省が2021年7月26日(月)、第51回目となる有識者会議「国土幹線道路部会」を開催。今後の高速道路料金施策について中間答申の案が国交省側から発表され、意見が交わされました。
 
 このなかで、混雑状況に応じて、特定の時間帯や経路について料金の割増・割引を行うことが盛り込まれています。2021年7月から9月の「東京2020」大会期間中に首都高でマイカーなどへの一律1000円上乗せが実施されていますが、答申では、このような「ロードプライシング」をより機動的に行う施策が打ち出される見込みです。

 2016(平成28)年以降、大都市圏では路線ごとに異なっていた料金体系が整理され、対距離制が基本になりました。渋滞箇所などの迂回をしやすくするのが目的ですが、ロードプライシングは、この理念をさらに推し進め、混雑緩和につなげる狙いがあります。

 ただ以前から、こうした迂回の障壁になり得ると認識されつつも一向に解決されず、今回の答申案にも「速やかに実現すべき料金制度のあり方」として盛り込まれている要素があります。道路会社ごとに設定されている「ターミナルチャージ」の問題です。

 ターミナルチャージは鉄道の初乗り料金にたとえられます。NEXCOと首都高の路線をまたいで利用した場合、どちらの料金にもターミナルチャージ150円が含まれており、二重で徴収されます。

 NEXCOと首都高のあいだでは、「外環道の迂回割引」などで料金調整はなされるものの、ターミナルチャージはいわば固定費です。答申案では、このターミナルチャージの重複徴収が「シームレスな利用の妨げになっているとの指摘もある」とされています。

重複撤廃→「1回当たりを値上げ」しかないのか?

 国土交通省 高速道路課の担当者によると、ターミナルチャージの重複撤廃をかねてから要望しているのは、他ならぬ首都高の大株主でもある東京都だといいます。

 というのも、「首都高4号新宿線と中央道で重複する問題があるから」だとか。他路線の場合、首都高とNEXCOの境界は東京都の外縁部にありますが、4号新宿線〜中央道の場合は多摩地区の大幹線であるため、都内の移動でターミナルチャージが重複徴収されるわけです。

 しかしターミナルチャージを無くすと「毎年100億円規模の欠損が生じる」(国土交通省 高速道路課)といい、建設費などの償還に大きく影響するとのこと。

 仮に重複徴収を撤廃する場合は、1回あたりのチャージを引き上げる必要が生じ、「会社をまたがない」利用者にとって値上げになる可能性があることから、これまでの議論でも踏み切れなかったといいます。

「鉄道のように会社間で按分することも考えられるかもしれません。おおよそ5年後を目標とするETC専用化の概成など、いろいろなものを変えていくタイミングでフォローアップすることになるでしょう」(同前)

 ちなみに今後、首都高で「激変緩和措置」として導入されていた上限料金も、2022年4月には普通車1320円が1950円まで引き上げられます。これまでは首都高を35.7km以上走っても、料金は1320円で据え置きでしたが、55kmまで利用距離に応じて加算されていくことになります。

 このような上限料金は、NEXCOの道路の基準で完全な対距離制にしてしまうと大幅な負担増になってしまうことから導入されている措置ですが、ロードプライシングを本格展開する前提として、より「公平な」料金に近づけため、今後、順次見直される見込みです。

 さらにターミナルチャージの重複徴収がなくなったときこそ、真の意味での「公平」といえるかもしれません。