2023年の敦賀延伸とともに開業予定の北陸新幹線福井駅は、他の新幹線駅でも例を見ない、ホーム1本と線路2本だけのシンプルな構造になっています。なぜこのような構造になったのでしょうか。

JR在来線とえちぜん鉄道に挟まれたシンプル構造

 2023年度末の金沢〜敦賀間の開業に向けて建設が進む北陸新幹線のうち、福井駅の駅舎が完成に近づいています。2021年7月中に足場が順次撤去され、8月上旬に駅名標が取り付けられる予定となっています。

 この北陸新幹線福井駅、駅構造は1面2線。通過線もなく、1本だけの島式ホームに、上下線の列車が発着する非常にシンプルなものとなっています。

 各駅停車しか停まらない駅でも通過線や待避線があったり、2面2線の相対式ホームの駅構造がほとんどななか、福井駅の島式ホーム1本だけの構造は、日本の新幹線の駅では唯一の例となっています。

 類似した例では、東海道新幹線の三島駅があります。同じく島式ホーム1本だけがあり、上下線で共有する形です。しかしこちらは外側に通過線があり、駅構内には4本の線路が通っています。純粋に線路が2本だけ、ホームが1本だけというのは、新幹線では福井駅が初めての例となります。全列車の停車が予想される駅にもかかわらず、なぜこのようなシンプルな構造になったのでしょうか。

福井駅建設までの紆余曲折

 福井駅は、2004(平成16)年の政府与党申合せにおいて翌年度に着工を目指すとされた新幹線区間のひとつにリストアップされました。これは、北陸新幹線の先行開業区間の長野〜金沢間と同じタイミングです。そして2005(平成17)年に予算10億円が割り当てられ着工。2009(平成21)年に駅周辺約800mの高架が完成し、2021年で"12歳"を迎えます。

 福井駅のみ先行して工事が行われた背景として、福井駅周辺ですでに進行中だったJR北陸本線およびえちぜん鉄道(2001〈平成13)年まで京福電鉄)の連続立体交差事業があります。実際、えちぜん鉄道の福井駅周辺の高架化にあたっては、先に完成していた新幹線の高架を仮線として「間借り」しながら、隣に本線の高架を建設するという調整が行われました。

 さて、福井駅の新幹線駅はもともと、高架化予定の京福電鉄のさらに上に一体的に建設されるという、「3階建て構造」で福井県が事業認可案を進めていました。しかし、2005年度の予算割り当てを見越して事業認可申請を行う段になり、国土交通省の提示した「別々の駅として建設」という案を進めることになりました。その結果、新幹線駅はJR在来線とえちぜん鉄道に挟まれた1面2線の狭い構造となったのです。

 このように3階建て一体構造から2階建て別構造に変更された背景としては、コスト削減や在来線への乗り継ぎ時間の短縮を図ったというほかに、一体として工事を進めるはずだった京福電鉄が2000(平成12)年および2001(平成13)年の衝突事故をうけて運行休止、そのまま廃止という事態に陥ったことも考えられます。

 京福電鉄の廃止をうけ、福井県が中心となる第三セクター・えちぜん鉄道が2002(平成14)年に発足。翌2003(平成15)年に元京福の路線の大部分を運行再開します。しかし、京福の運行休止の時点ですでに「新しい福井駅の3階建ての2階部分には、もう電車は来ない」という前提で計画を見直さざるを得なかったのでしょう。