無免許・無届・赤信号無視で事故を起こした電動キックボードの利用者が、無免許危険運転致傷容疑で送検されました。そのままでは公道走行不可であることを知っていながら起こした事故、その代償は重いものでした。

「ことさらに赤信号を無視」

 飲食店勤務、新宿区在住の23歳の女性が、新宿区歌舞伎町付近を電動キックボードで無免許運転。赤信号を無視して直進しタクシーに衝突。2021年8月26日(木)、自動車運転死傷処罰法違反(無免許危険運転致傷)などの容疑で送検されました。電動キックボード利用中の適応は全国で初めてのことです。

 警視庁の発表によると、女性は6月2日19時10分頃、JRの新宿大ガード東交差点(新宿区新宿3丁目23先)を「赤信号をことさらに無視して直進」。女性の左側から青色信号に従って交差点に進入しようとしていたタクシーと衝突し、同乗者に加療10日間の頭部打撲を負わせたものです。女性も右手の骨を折る重傷でした。

 現場は女性が進行していた方向に5車線、タクシーが進行していた方向に4車線の大きな変則十字路です。渋滞の少ないコロナ禍で通過車両のスピードは速いですが、女性は約20km/hで走行していました。

 女性の運転する電動キックボードは原動機付自転車としての登録が必要でした。しかし、その届出を怠っていたことで、前述のほかに2つの容疑に問われています。

 自賠責保険未加入だったことによる無保険運行(自動車損害賠償保障法違反)。灯火類・方向指示器、警音など必要な保安部品を取り付けていなかった整備不良(道路交通法違反)です。

事故から2か月以上をかけ検討

 今回の事件は、女性の信号無視による運転で衝突・人身事故が発生したことがきっかけに、新宿署と本庁交通捜査課の共同捜査本部で検討されました。免許を取得していなかったことや、購入時に販売店からそのままの状態では公道を走ることができないことを説明されていたことなどから、電動キックボードの公道走行に免許が必要なことを認識していたことが裏付けられ、厳しい対応になりました。

 近年、急速に利用が拡大した電動キックボードは、違法性を問う根拠となる定格出力など走行性能が不明な車両も多く、摘発後も多くの裏付けが必要となっています。

 電動キックボードの違法走行について、警視庁は今のところ電動キックボード取締りの姿勢や摘発件数など実態を公表していませんが、事故やトラブルは大阪市や福岡市同様に都内でも増えているようです。重大な違反をきかっけに、運転に対する注意を含めた取締りが強化されています。

 電動キックボードなど新しい移動手段の公道走行を容易にする交通ルール改正も検討されていますが、いまだ検討の途上。現状で違法性を問われた場合、代償は小さくありません。