新東名高速の新清水JCTから北へ、中央道の双葉JCTに至る自動車専用道ルート「中部横断自動車道」が全通を迎えました。東名と中央道の利用者にとって、中部横断道はそれぞれ渋滞時の迂回ルートとして活用できるのでしょうか。

静岡市〜甲府市を直結 途中約30kmは無料区間

 2021年8月29日(日)、中部横断自動車道の下部温泉早川IC〜南部IC間が開通しました。これにより、東名・新東名と中央道が高速道路で直結、新清水JCT〜双葉JCTの所要時間は1時間35分に短縮されます。

 静岡市内で東名と新東名は清水JCT〜新清水JCT間の支線で連絡していますが、その支線がさらに北へ伸びる形をとっているのが中部横断道です。中央道とは甲府市の西側の双葉JCTで接続します。新清水JCT〜富沢IC間、六郷IC〜双葉JCT間がNEXCO中日本管理の有料道路で、その中間の富沢IC〜六郷IC間の29.7kmが国土交通省管理の無料区間です。

 中部横断道の静岡県〜山梨県の全通は、甲信越地方の農産物や工業製品を清水港から海外へ出荷するルートとしてだけでなく、医療関係車両など緊急時の輸送路としても速達性が高まる効果が期待されています。

 また、今回の開通区間と並行する国道52号には、降水量が一定基準を超えると交通規制が実施される区間があり、大雨時などにたびたび通行止めが発生していました。中部横断道はこういった際のバイパスという点でも重要な意味を持ちます。

東名・新東名⇔中央道の「逃げ道」になるか 距離・料金比較してみた

 今回全通する中部横断道は、東名あるいは中央道の迂回路としての役割も期待されています。

 土休日の午後などには、東名上り線の静岡・神奈川県境付近や神奈川県内では渋滞が発生し、東京ICまで平時よりも1〜2時間ほど長くかかることがあります。逆に中央道でも、小仏トンネル周辺(神奈川県と東京都の境)を先頭に、激しい渋滞が発生することがあります。今後、2つの路線の渋滞状況を勘案して、中部横断道などを利用し互いに空いている方へ移る、といったルート選定の可能性が生まれます。

 さて、静岡県〜山梨県の高速ルートといえば、4月に新東名の御殿場JCT〜新御殿場IC、国道138号御殿場バイパス、須走道路が開通。御殿場JCT〜大月JCT間が約50分で結ばれるようになっています。

 この「御殿場〜大月」ルートも合わせて、静岡と松本の両市から都心へ向かう際の所要時間と料金を、3経路で比較してみました。

【静岡〜東京】
●中部横断道ルート(東名→中部横断道→中央道)※8/29全通
静岡IC〜高井戸IC:214.1km、2時間50分、5150円

●富士五湖ルート(東名→新東名・東富士五湖道路→中央道)※4/10全通済み
静岡IC〜高井戸IC:199.3km、2時間24分、6070円

●東名のみ
静岡IC〜東京IC:161.8km、1時間43分、4300円

【松本〜東京】
●中部横断道ルート(中央道→中部横断道→東名)※8/29全通
松本IC〜東京IC:307.9km、3時間37分、7530円

●富士五湖ルート(中央道→東富士五湖道路→東名)※4/10全通済み
松本IC〜東京IC:272.2km、3時間29分、7770円

●中央道のみ
松本IC〜高井戸IC:207.9km、2時間36分、5170円

 これらは都心を目的地として比較しましたが、神奈川県やアクアライン方面へ移動する場合は東名経由が、埼玉県方面へは中央道経由が、それぞれより便利になってくるでしょう。

 今後、渋滞時だけでなく、東名の集中工事や災害時など、長期にわたって一方の路線で大規模な規制や通行止めが発生するような場合、今回の御殿場〜中央道ルートのような迂回路は、心強い存在になることでしょう。

 ところで、公共交通機関にも動きがあります。しずてつジャストラインと山梨交通が共同運行する高速バス「静岡甲府線」は、今回の開通と同時に運行を再開。翌30日から開通区間への経由を開始し、静岡駅と甲府駅を1時間55分で結びます。並行するJR身延線の特急「ワイドビューふじかわ」の静岡〜甲府間の所要時間は2時間10分前後。運行回数はJRが毎日7往復に対しバスが土休日に2往復と少ないですが、速達性で優位に立っています。


※一部修正しました(8月30日9時46分)。