かつてJR西日本では団体列車やイベント列車に対応した「スーパーサルーンゆめじ」を使用していました。この「スーパーサルーンゆめじ」、211系電車と213系電車からなる3両編成でした。なぜ異なる形式となったのでしょうか。

JR西日本が2両だけ製造した211系

 JR東日本の湘南新宿ラインや上野東京ラインの列車ではE231系電車とE233系電車、JR西日本の新快速電車では223系電車と225系電車というように、異形式車両による併結運転が見られます。一方で併結ではなく、ひとつの編成を異形式の車両で組んだ電車がありました。それがJR西日本で使用された「スーパーサルーンゆめじ」です。

「スーパーサルーンゆめじ」は、1988(昭和63)年4月の瀬戸大橋線の開業を控えた3月に、団体列車やイベント列車に対応できる設備を設けたオールハイデッカー構造のパノラマ車として登場。クモロ211-1+モロ210-1+クロ212-1001の3両編成で、クモロ211-1とモロ210-1は「211系電車」、クロ212-1001は「213系電車」です。いったいなぜ、211系電車と213系電車の組み合わせになったのでしょうか?

 213系電車は国鉄末期の1987(昭和62)年、瀬戸大橋線開業後の本州と四国を結ぶ直通快速での使用を見据え、宇野線快速でデビューしました。211系電車をベースとしていますが、軽量ステンレス車両であるとともに3両編成を基本としたため電動車を1両としました。すべて普通車で編成はクモハ213+サハ213+クハ212でした。

いっぽう「スーパーサルーンゆめじ」は同じ3両編成ですが、こちらは先頭車の前面や側面に大型の窓を設けた構造のため、車体強度を確保するなどの理由から、ステンレス車体ではなく鋼製の車体としました。すると車体の重量が増えて電動車1両である213系電車では安定した性能が得られないことから、電動車2両でユニットを組むタイプの211系電車を採用しました。これが211系電車2両+213系電車1両の組み合わせとなった理由です。

 JR西日本では同時期に快速「マリンライナー」用のクロ212形(0番台)も製造しています。クロ212形(0番台)が検査で入場しているときには、「スーパーサルーンゆめじ」の編成を分割してクロ212-1001を快速「マリンライナー」に使用したり、逆に快速「マリンライナー」の増結用としてクモロ211-1とモロ210-1を使うこともありました。

 211系電車は国鉄時代に登場後、JR東日本やJR東海でも製造しています。しかしJR西日本が製造した211系電車は「スーパーサルーンゆめじ」の2両のみ。希少な車両でしたが、クロ212-1001も含めて2010(平成22)年に廃車となっています。