地方間の旅客便で活躍するターボプロップ旅客機、その整備作業の様子は羽田空港などでは見ることができないのが一般的です。ジェット旅客機とはどのような違いがあるのでしょうか。沖縄の「MRO Japan」でANA機の整備作業を見てきました。

羽田じゃ見られない? 「ボンQ」のドッグ整備

 那覇空港には、国内では全く新しいスタイルで旅客機の航空機整備を行う会社「MRO Japan」の格納庫があります。これまで国内の航空機整備は、航空会社ごとに、その社の整備部門が担当するというスタイルが一般的だったのに対し、MRO Japanはさまざまな航空会社からの依頼をうけ整備を行う「航空機整備事業」会社です。

 2021年9月の取材時、MRO Japanの格納庫では、現在のANA(全日空)グループで唯一となるプロペラ駆動のターボプロップ旅客機「ボンバルディアDHC8-Q400」(運航はANAウイングス)が、自動車でいう車検に相当する大掛かりな整備作業「ドッグ整備」をうけていたところでした。

 DHC8-Q400は「ボンQ」のニックネームで親しまれ、地方間路線での活躍が光る旅客機。その一方で、ジェット旅客機が主流の羽田空港発着路線などでの定常的な投入は、平時では滅多にありません。それゆえ同型機の整備作業は、平時一般見学も受け付けている羽田空港の格納庫だと、まず見ることのできない光景といえそうです。

 MRO Japanの格納庫でDHC8-Q400の整備作業の様子を上から見ると、胴体の上に整備士が乗り、作業している様子が特徴的です。同型機は主翼が胴体の上に乗るようなレイアウトをもつ高翼機。そのためこの箇所には、燃料タンクの一部があります。ここの整備作業を行うべく、胴体の上に登るのだそうです。

ターボプロップ機、ジェット旅客機と整備に違いはあるのか

 ANAグループで運用されている唯一のターボプロップ機であるDHC8-Q400。ジェット旅客機とくらべて、整備作業に特徴や違いなどはあるのでしょうか。

 この日の整備作業では、客室のシートなどはすべて取り外されメンテナンスをしていたほか、胴体もさまざまな部分の覆いが外されていました。エンジンも"むき出し”です。担当者によると、電気系統や、速度を測る「ピトー管」などをチェックしていたとのこと。機体のかたわらには、さまざまなパネルやパーツが整然と並んでいます。

 DHC8-Q400の整備期間はおよそ2週間から3週間(1〜2年ごとに実施される「C整備」の場合)。機体のサイズこそ小さいものの、所要日数はジェット旅客機と大きな差はないそうです。

 そして同型機の特徴であるプロペラエンジン。C整備では、プロペラはすべて外して交換するそうです。ジェット機では、エンジンはまるごと取り外して専用の整備センターでメンテナンスを実施し、機体へ戻されます。一方、同型機の場合、エンジン整備センターでメンテナンスされるものは、プロペラを取り除いた根幹部分のみ。サイズも非常に小ぶりで、「(プロペラなどを取り外した)DHC8-Q400のエンジンは、ジェット旅客機のAPU(補助動力装置。ジェット旅客機の最後部にある補助エンジン)くらいのサイズしかない」(MRO Japanの担当者)そうです。