2020年度冬、高速道路では大雪による大規模な車両の立ち往生が頻発しました。まもなく到来する本格的な冬に向け、道路管理者は従来の方針を大きく転換、立ち往生を発生させない新機軸の対策を打ち出します。

立ち往生「発生させない!」

 間もなく迎える本格的な冬。高速道路各社や道路管理者は、2021年10月下旬頃から雪対策の強化などを相次いで発表し、備えを強めています。
 

 その主眼は、道路上での大規模な「立ち往生」を発生させないことに置かれています。2020年度には、関越道で発生した立ち往生で2000台以上が巻き込まれ、解消に3日を要しました。同様の事例は、北陸道や東海北陸道でも発生しています。

 これを受け、国土交通省はじめ道路管理者は従来の方針を大きく転換しています。国の委員会は、「できるだけ通行止めしない」「道路ネットワーク機能を確保する」という考え方から、「人名を最優先に、大規模な車両滞留を徹底的に回避する」方針へ転換するよう提言しました。

 これは、「道路を止めない」から「止める」を基本に据える考えへの転換と言い換えることができるでしょう。NEXCO中日本は10月の定例会見にて、関係機関とのさらなる連携強化を図るとともに「交通状況、降雪状況に応じて躊躇なく高速道路と並行する一般国道などと同時に通行止めをおこないます」と、改めて強調しました。

 また、大雪の気象予測が発表された場合は、3日前から不要不急の外出の自粛や広域迂回の呼びかけを、1日前からは通行止め区間、日時、迂回経路などの情報提供を繰り返し実施するといいます。緊急テレビCMのほか、ウェブサイトやSNSなど多様な広報媒体を活用し、「空振りを恐れない」という姿勢で臨むとのこと。

 このようなソフト対策のほかに、ハード面でも新機軸が打ち出されています。

「飛び出す遮断機」も登場

 
 NEXCO中日本が導入するハード面での新機軸のひとつが、本線上における「エアー遮断器」の設置です。

 通行困難な区間への車両流入をいち早く抑制するため、道路遮断器は従来の固いバーに代わり、空気で膨らむバルーン式を採用。一般道では近年導入が増えており、突然のゲリラ豪雨時に冠水しやすいアンダーパスへの流入を防ぐために使用されていますが、高速道路での適用は珍しいといえるでしょう。

 また、通行止めとなる区間の手前のIC周辺などには「ここで出よ!」などと表示する情報板も追加で設置し、ドライバーの緊張感を高めます。

 同時に、立ち往生が「起きてから」を想定した対策も強化しています。その一つがEV(電気自動車)への対策です。EVは寒冷環境での長時間滞留が困難であるということを考慮し、可搬式充電器や充電車を増備するといいます。

「極力止めない」から「躊躇なく止める」への方針転換は昨シーズンから実践されています。立ち往生や事故などが発生していなくても、通行止めを行って集中的な除雪を実施することで交通への影響を最小化する「予防的通行止め」なども各所で実施されました。

 ただ、立ち往生の予防には、利用者側の意識向上ももちろん不可欠でしょう。タイヤチェーン未装着、あるいはすり減ったスタッドレスタイヤで走行したクルマが動けなくなったことで、大規模な立ち往生に発展した事例も多々あります。

 NEXCO東日本は例年、初冬期に寒冷地の県ごと、週ごとに通行車両の「冬タイヤ装着率」を調査し公表しています。2019年まで5年間の平均値を見ると、東北6県では、11月第1週目は25%ですが、12月第1週には全体の89%、2週目には95%に達するそうです。