短い両数の列車を複数連結して1本の長い編成にする――そのような列車を見かけることがあります。途中駅での連結/切り離しに時間はかかるものの、はじめから長い列車として走せないことにもメリットがあります。

1本にまとめて列車密度を下げる

「後ろ10両は当駅で切り離しますので、前の5両にお乗り換えください」

 JR宇都宮線の小金井駅(栃木県下野市)などで、このような場面に出くわすことがあります。列車としてはさらに北の宇都宮行きであるものの、10両が途中の小金井止まりで、宇都宮駅まで行くのは5両というケースです。この場合、グリーン車も小金井駅で打ち切りとなり、車両を移動しなければなりません。

 宇都宮線に限らず「5両編成と10両編成で15両」「4両編成と6両編成で10両」というように、途中駅にて先頭車両どうしの連結/切り離しを行う列車は少なくありません。この作業には時間がかかり、先頭車両どうしのため車両間の移動ができないなどの欠点もありますが、「はじめから長い列車で走らせない」ことにも複数のメリットがあるのです。

 このような連結は、ひとつは区間によって利用者数に偏りがある場合に見られます。例えばA駅から途中のB駅までは閑散区間、そこから都心部のC駅までは混雑区間になる、というケースです。輸送効率や、それに伴う乗務員の手配を考えると、B〜C間で連結した編成になる方が経済的です。この方式はJRや京急電鉄、近鉄、阪神電鉄などで見られます。

 もうひとつは、列車の運行本数が多く、これ以上増発できない場合です。例えば本線と支線の両方から都心方面へ向かう列車がある場合、本来ならどちらから来た列車もそのまま都心方面へ向かわせたいところですが、すでに列車数は飽和状態。そのため、両線の列車が合流する駅で連結し1本の列車となり、路線全体の列車密度を下げます。秋田新幹線や山形新幹線から東北新幹線へ直通する上りの「はやぶさ・こまち」「やまびこ・つばさ」や、名鉄の特急「ミュースカイ」などです。

乗客の避難につながった京王電鉄

 一方で、先頭車両どうしを連結してはいるものの、切り離しを行わなくなった列車が東武鉄道や小田急電鉄、京王電鉄などで見られます。

 連結している先頭車両には乗務員室がありますが、運転台横に設けられた通路と幌を介して、車内から隣の車両に移れるようになっているケースも。中には途中駅で行っていた連結/切り離しを行わなくなった以上、こうした車両を改修するなどして、1本のつながった編成にする動きもあるほどです。また、導入する新型車両も原則として切り離しを想定せず、1本の長い「固定編成」にするという鉄道会社もあります。

 その最大のメリットは乗車定員の増加です。乗務員室がある先頭車両は、旅客サービス面で見ればデッドスペースになってしまいます。また、運転台まわりの機器類をなくすことで、メンテナンス削減が図れます。

 非常時に避難誘導が円滑に行える点も挙げられます。行き止まりだった先頭車両が中間車両になれば、隣の車両に移れます。事実、2021年10月末に京王線で発生した傷害事件では、乗客が最初の事件現場となった3号車から主に10号車の方向に逃げる様子が、乗り合わせた別の乗客が撮影した動画に記録されていました。車両は同社の8000系電車(10両編成)内で発生しましたが、この編成は製造当初、4両編成と6両編成を連結した10両編成でした。

 京王電鉄は先の理由から、2013年度より8000系を10両編成化する改修を行っていたのです。現在、10両編成の8000系は、全てが1本のつながった編成になっています。