高知市を中心とした、とさでん交通の路面電車沿線には、ちょっと変わった”鉄道スポット”がいっぱい。期間・開催日限定で開催されている「電車・バス無料デー」を利用して訪れてみましょう。年末年始も対象です。

日曜「無料デー」で巡ってみたい、とさでんのグッとくるスポット

 高知市を中心に2022年1月まで日曜日・特定日に実施されている「電車・バス無料デー」では、全長25.3kmにも及ぶ「とさでん交通」の路面電車も、全線無料で乗車することができます。12月30日から1月3日のあいだも対象です。

 市内のはりまや橋交差点を中心として、特に東西方向に長く延びるこの電車の沿線には、鉄道に興味がある方なら「おっ?」と眺めてしまうかもしれないスポットも。路面電車に乗って、その数々を巡ってみましょう。

路面電車が複線で直角交差!ダイヤモンドクロッシング

 はりまや橋交差点では、駅と桟橋を結ぶ南北の路線と、東西方向に長く延びる路線が直角にクロスしています。「ダイヤモンドクロッシング」と呼ばれ、路面電車どうしの交差として現役なのは全国でもこの場所のみです(鉄道どうしのクロスなら名鉄築港線、鉄道と路面電車のクロスなら伊予鉄松山市内線・高浜線にあり)。

 1日に延べ700両もの電車が通過するこの場所では、タイミングが良ければ3両の車両が交差点内を通過する「トリプルクロス」。平日の朝8時9分〜8時12分の間に見られる現象で、見物客が増加したことから交差点の歩道部に解説パネルまで設置されましたが、実際にこのトリプルクロスが見られるのは月数回、東側から来る電車の信号通過状況次第という、まさに運頼みです。

単線区間のタブレット交換

 市街地では複線だった路面電車は、伊野線の西側末端の7kmほどの区間で単線に。2021年公開のアニメ映画『竜とそばかすの姫』にも登場した鏡川を越えてすぐ、1kmほど国道55号の狭隘な旧道を走行します。

 電車の線路は、幅の狭い2車線道路の片側に敷かれています。大半のクルマは200mほど北側に並行するバイパスを利用しますが、路線バスは多くが旧道経由で、路面電車といっしょに走ります。何よりこの周辺は高知大学の学生街でもあるため人通りや自転車も多く、運転士さんもかなり慎重にレバーを操作しています。

 この旧道区間、交換(すれ違い)設備のある朝倉停留場では、いまでは珍しくなった“タブレット“と呼ばれる楕円状の道具の受け渡しが行われます。この道具を受け取った電車しか単線区間に侵入できない、というとてもシンプルなシステムですが、現在も同様の方法をとっているのは由利高原鉄道(秋田県)など数例しかなく、路面電車では「とさでん交通」でしか見ることができません。

日本一短い「駅間」

 高知市内と南国市・ごめん(後免)を結ぶ後免線の一条橋〜清和学園前間は、その距離わずか63m。電車の停留所を「駅」に含めた場合、日本一駅間の距離が近いことで知られています。ホームの端と端の距離はさらに短く、50mを切ります。

 ここまで間隔が短くなってしまったのは、1985(昭和60)年、清和女子中学・高等学校が移転したことによるものです。その当初は開業当初からあった一条橋停留所を移転することで話し合いが持たれていましたが、学校の入口と停留所の間には川が流れ、当時かかっている橋は歩道もなく狭隘なものでした。

 現在はこの北側にバイパスが開通していますが、当時はクルマの交通量がとても多かったため、地元住民が徒歩で路肩を移動することに懸念が持たれ、一転して”一条橋停留所も存続、清和学園前停留所も新設”に落ち着いたという経緯があります。

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 その他、めいっぱいの走行音を立てて峠を越える伊野線「咥内(こうない)の急坂」、かつて和紙を港まで輸送していた名残で埠頭のすぐ横まで線路が伸びている「桟橋線の末端」、待合室とコンビニ(ローソン)が併設され、電車の運転士バージョンの“ポンタ”イラストが見られる「ごめん町停留所」、ポルトガル・リスボンから来た「外国電車」、家庭用エアコンを車両内に設置し室外機を屋根につけ「実家の離れを見ているかのような簡易冷房装置つき電車」などなど……とさでんの路面電車、あまりにも特色だらけで見ていて飽きません。