17年前に初飛行。大ヒット機ではなかったですが、超個性的でした。

2005年4月27日に初飛行

 2005年4月27日は、総2階建ての胴体を持つ、ヨーロッパ・エアバス製の「A380」が初飛行した日です。同型機はすでに生産終了が発表されており、2021年に最終号機の引き渡しも完了していますが、いまもなお「世界最大の旅客機」としてスター性を発揮。世界の航空ファンの注目を集め続けています。

 A380計画の始まりは、1990年代まで遡ります。ライバルであるボーイングでは、先んじて「ジャンボ・ジェット」と呼ばれる747シリーズが商業的にロングセラーを記録。A380は、これに対抗し、牙城を崩すべく作られたモデルとされています。正式に「A380」の名がつき、プログラムが本格的にスタートしたのは2000年のことでした。

 A380は、総2階建てとしキャパシティを上げることにより、1席あたりの運用コストを下げる狙いがありました。初飛行時の報道発表によると、A380は555席を搭載。別の資料では、747より35%多くの乗客を乗せることができ、1席あたりのコストが15%低く、747の半分の騒音に抑えられているとアピールしていました。

 初飛行はエアバスの本社がある、フランス・トゥールーズのブラニャック空港で実施され、このときの重量は「民間旅客機ではもっとも重い(the highest ever of any civil airliner at take-off to date)」(エアバスの当時の報道発表より)という、421tだったと記録されています。

旅客機「A380」のユニークな使われ方…なぜ?

 とはいえA380の製造機数は250機程度で、さほど大ヒットしたモデルとは言えませんでした。これは、小型で燃費効率の良い旅客機がトレンドとなるなか、4発エンジン機でキャパシティが大きすぎたこと、また規格外の大きさゆえに、たとえば駐機場の一部に改修を要するなどの各種の制約があったことなども挙げられるでしょう。

 ただその一方で、A380の巨体を活かしユニークな使い方をする航空会社もあります。たとえば、もっともA380を多く使用しているエミレーツ航空のA380のファーストクラスでは、機内に洗面台付きのシャワー室を設置。シンガポール航空のA380はファーストクラスを超えた最上位クラスとして、本物のベッドを設置した「スイート」クラスを搭載しています。

 エミレーツ航空のサティシュ・セティ日本支店長は、同機の魅力を次のように話します。

「当社のA380は、その広さ、静けさ、そして全てのキャビンでの快適さから、多くのお客様がわざわざ選ばれます。特に当社機はキャビンスペースを特注しており、高い天井にムード照明を取り入れたり、機内ラウンジなどの特徴的な施設を設けたりしています。ファーストクラスのシャワースパは、床暖房や豪華なアメニティ、5分間の流水機能も備えており、リフレッシュして次の旅に備えるにはこれ以上のものはありません。これはまさに航空業界の金字塔です」

近年発表された「新たなA380の使い道」

 なお、ここ日本では、A380をANA(全日空)が導入。3機すべてに「ウミガメ」の特別塗装を施し、平時は成田〜ホノルル線の専用機として使用しているほか、機内もエコノミークラス最後方に、追加料金を払うとベッドのように寝転がれる「カウチシート」を備えるなど、ユニークな仕様となっています。

 ただし、エアバスA380を導入していた航空会社の多くは年々使用機数を減らしつつあり、コロナ禍でその流れは一層加速しつつあります。そのようななか、同機を用いた新たな取り組みもスタートしていています。

 エアバスでは、2035年を目標に二酸化炭素を排出しない「ゼロエミッション旅客機」の開発を進めています。2022年にA380初号機「MSN001」が、ゼロエミッション旅客機に搭載される「水素エンジン」のテストをするためのデモンストレーター機として選ばれました。エアバスによると、「A380は世界最大で最も広い旅客機であり、テストプラットフォームの役割に適している」というのが選定の理由とのことです。