関東エリアから中国エリアにかけて多くのJRの直流線区で走っていた国鉄の近郊形直流電車「115系」。最大約1900両が製造されましたが、新型車両との置き換えにより減少し続けています。いまどこで、どれだけ走っているのでしょう。

当たり前に走っていた115系

 国鉄時代に関東・中部・近畿・中国の各エリアに導入された近郊形直流電車の「115系」。JRとなってからも多くの路線で使われてきましたが、新型車両の投入により廃車が進み、車両数が大幅に減少しています。

 115系は、もともと東北本線・高崎線上野口で使用していた車両の性能アップを目的として、国鉄が1963(昭和38)年1月に投入を開始した国鉄電車です。東海道本線の東京口で使用していた111系電車を基本としていますが、車体側面のドアは自動・半自動の切り替えが可能で、ドアのレールはヒーター付きとし、屋根上の通風器(ベンチレーター)は雪が入りにくい構造(耐寒耐雪構造)を採用。モーターも出力を増強し、急坂に対応した抑速ブレーキを搭載しているのが特徴です。

 その後、冷房装置の取り付けや4人掛けボックスシートの間隔(シートピッチ)を拡大するなどの改良が重ねられつつ、最終的には総計約1900両が製造。中央本線や山陽本線をはじめ、上越線や日光線、伯備線など雪深い山岳路線や勾配線区で使われました。

 国鉄分割民営化が行われた1987(昭和62)年4月1日、115系はJR東日本・JR東海・JR西日本の3社に引き継がれました。しかし新型車両の投入によりJR東海では2009(平成21)年にすべて廃車。2022年4月1日時点で残っているのはJR東日本に22両、JR西日本243両の265両です。

 JR東日本で廃車となった115系のうち、一部は長野県の第三セクター・しなの鉄道に譲渡され、最大62両が配置されました。しかし、しなの鉄道でも2020年に新型車両SR1系の導入を開始したことに伴い、余剰となった115系は順次廃車。これにより、2022年4月1日時点でしなの鉄道の115系は45両となっています。

 4月1日時点で残存する115系はJR東日本とJR西日本、しなの鉄道の3社あわせて310両です。しかし、JR東日本新潟車両センターに所属する21両は2022年3月12日のダイヤ改正で定期運行を終了。高崎車両センターの保留車1両とともにJR東日本の稼働車はないとみてよいでしょう。

 JR西日本でも福知山電車区に所属していた2両が3月12日のダイヤ改正で定期運行を終了し、しなの鉄道も4月下旬に8両が廃車となり37両となっています。

 この結果、定期的に稼働する115系は278両で、実に製造両数の約14%にも減っているのです。

定期運行している路線は?

 前出の通りJR東日本では新潟地区で115系の定期運行が終了しました。しかし、しなの鉄道の115系がJR東日本の信越本線篠ノ井〜長野間を走行します。

 しなの鉄道の115系は普通列車に使用されるのがほとんどですが、快速列車の一部にも充当されます。下りでは軽井沢駅を15時10分に発車する長野行き(2605M)と上田駅を17時50分に発車する長野行き(605M/平日運転)、上りでは長野駅を午前7時39分に発車する上田行き(1602M/平日運転)と長野駅を午前9時25分に発車する軽井沢行き(2602M)です。115系については原則、毎月末日に翌月分の車両運用行路表が公開されています。

 さらに、しなの鉄道には115系3両編成1本を改造した観光列車「ろくもん」もあります。こちらは軽井沢〜長野間だけでなく、普段は乗り入れることのない篠ノ井線姨捨駅まで入線することがあります。

 現在、JRで115系を定期的に運用しているのはJR西日本です。岡山電車区に157両、下関総合車両所運用研修センターに84両の115系が配置されていて、以下の区間で運転されています。

・山陽本線 姫路〜三原
・赤穂線 播州赤穂〜東岡山
・宇野線
・本四備讃線(瀬戸大橋線) 茶屋町〜児島
・伯備線
・山陰本線 伯耆大山〜西出雲
・山陽本線 岩国〜下関
・福塩線 福山〜府中

 しかしJR西日本では2023年度以降、岡山・備後エリアに227系電車101両を順次投入することを発表しており、今後、115系はさらに数を減らしていくことが予想されます。


※一部修正しました(6月3日11時35分)。