ANAグループのパイロットが機長としての初フライトを実施。その機の最終点検を行った整備士は、機長の父親でした。ふたりはこの日をどのように迎えたのでしょうか。

7日のANA401便でデビュー

 機長となった息子の門出を父が支える――そんなフライトが実現しました。2022年6月7日のANA401便(羽田発秋田行き)。ANAグループのANAウイングスに所属するパイロット、斉藤俊介さんの機長として初フライトです。
 
 同便担当のライン整備士(出発前整備)として駐機場で最終点検を行い、この機(ボーイング737-800。JA89AN)を滑走路へと送り出したのが、俊介さんの父、俊克さんでした。

「キャプテンとしての姿を父に見せられて良かったです。ホッとしています」と話す俊介さんは父が航空整備士ということもあり、「小さい頃から飛行機に触れる機会が多かった」とのこと。パイロットになったのは、「父(俊克さん)の影響は大きかったと思います。整備士も選択肢として考えていたのですが、この飛行機を操縦してみたい!とパイロットを目指しました」と話します。

 一方、俊克さんは「息子が中学のとき、社会科見学でフライトシミュレーター(飛行機の操縦を疑似体験できる施設)に連れて行ってあげたのですが、うまいこと着陸したんです。あれが(俊介さんがパイロットを目指した)きっかけかもしれません(笑)」と話します。

お互いの人物像を聞いてみた

「家ではおちゃらけていますが、仕事はバッチリやっている、そんな人です」。息子の斉藤俊介さんは父・俊克さんについてこう話します。「尊敬していますし、誇りです」とも。

 整備士としてのお父さんについては、「(仕事中は)もっとカッチリしているのかなと思ったんですが、“締めるところは締める”ものの、結構家にいるときのようにフランクなところもあって。いい意味で、普段と正直あまり変わらないような気がします」と話します。

 一方、父の俊克さんは息子のことを「外から見たときは、仕事時と普段にあまり差はないような感じですけど、内には秘めたものを持っていると思います。とくに機長昇格を経て、人を見る目がつくなど成長した気もしますし、成長ぶりが顔に出ていると思います」と話しました。

「小さいときから父が試験に備えて、分厚い本や資料をもって朝から晩まで勉強する姿をたくさん見ていて、安全を担う仕事というのはこうやってできているんだ、と幼いながらに感じていました。そういった姿勢は、現在の私の仕事にも結びついています」(斉藤俊介機長)

「息子は息子で頑張り、私はそれを支える立場でしたが、こんな立派になってくれて感無量です。これからももっと成長してくれるんじゃないでしょうか」(整備士の斉藤俊克さん)

 俊介さんが機長を務めたANA401便は、父・俊克さんを始めとするライン整備士などに見送られながら羽田空港を午前7時46分に出発。同便に乗り込んだ73人の乗客のなかには、俊克さん・俊介さんの家族も搭乗し、“斉藤親子”の新たな門出を祝っています。