実はアメリカも密かに飛ばしていました。

F-14「トムキャット」とは似て非なる可変翼構造

 1967(昭和42)年の6月10日、旧ソ連(現ロシア)が開発した戦闘機MiG-23が初飛行しました。なお、同機には北大西洋条約機構(NATO)が使用するコードネームとして、「フロッガー」という名が付けられていたことから、日本ではこの通称でもよく知られています。

 MiG-23は、ミグ設計局が1960年代に開発したジェット戦闘機で、一番の特徴は旧ソ連で開発された戦闘機としては初めて可変翼を備えた点です。これにより機動性や安定性に優れた機体に従っており、空中戦のみならずある程度の対地攻撃能力も持つ多用途戦闘機に仕上がっています。

 可変翼戦闘機というと、アメリカのF-14「トムキャット」戦闘機やF-111「アードバーク」戦闘機がよく知られています。ただ、これらアメリカ製の可変翼戦闘機はコンピューター制御で、速度に応じて任意に可動させることが可能だったのに対し、MiG-23は機械式で、決まった角度にしか主翼を固定できないものでした。

 それでも、主翼を最大限広げたときの揚力は大きく、それにより優れた短距離離着陸(STOL)性能を誇ったといいます。旧ソ連は、MiG-23を最前線の応急滑走路や未舗装滑走路などを有する飛行場でも運用できるよう想定していたため、優れた短距離離着陸性能を有することは大きなメリットでした。なお、そのような考えから、空戦性能だけでなく、ある程度の対地攻撃能力も付与されています。

米空軍の秘密部隊でも使用

 MiG-23は、母国ソ連以外にポーランドやチェコスロバキア、ルーマニア、インド、イラク、リビア、キューバなど世界30か国あまりで使用され、北朝鮮やシリア、アンゴラなどでは2022年現在も現役で運用されているそうです。

 総生産数は5000機強ですが、同機をベースに改良発展型のMiG-27が開発されており、こちらはロシア、ベラルーシ、ウクライナ、カザフスタンなどで運用が続けられています。

 ちなみに、アメリカ空軍も過去、MiG-23を装備していたことがあります。アメリカ空軍には第4477試験評価飛行隊というテスト部隊があり、ここで第3国経由で手に入れたソ連製戦闘機の解析を行っていたのです。

 ただ、このことは安全保障上の機密であるとして隠蔽されたため、アメリカ空軍は入手したMiG-23にはYF-113という欺瞞用の型式を付けて飛ばしていました。なお、MiG-21はYF-110、Su-22はYF-112、MiG-17にはYF-114と、MiG-23と同じように欺瞞用の型式を付けていたといいます。

 とうぜん、運用する第4477試験評価飛行隊の存在も公にされることはありませんでしたが、1984(昭和59)年4月、アメリカ空軍システム軍団(当時)の副司令官が、同飛行隊所属のMiG-23墜落によって命を落としたことで存在が明らかになり、1988(昭和63)年3月、第4477試験評価飛行隊は廃止されています。