都市圏のJRや私鉄で設定されている通勤ライナーや通勤特急。中には、並行路線でそのような列車同士の競合が見られる区間もあります。今回は新宿〜八王子間を例に、JR東日本の「はちおうじ」と京王電鉄の「京王ライナー」を比較します。

運賃・料金は京王ライナーに軍配が

 近年、都市圏のJRや私鉄で有料の座席指定列車が増え、中には並行路線でそうした列車同士の競合が見られる区間もあります。そのひとつが、新宿〜八王子間。2018年に京王電鉄が「京王ライナー」を設定すると、約1年後にはJRが「中央ライナー」を格上げした特急「はちおうじ」を投入しています。
 
 この区間では日中、京王電鉄の特急とJRの中央特快がデッドヒートを繰り広げています。そして夕方の17時になると、京王電鉄では座席指定列車「京王ライナー」の運転が始まり、やや遅れて18時15分にはJRの特急「はちおうじ」の運転が始まります。

「京王ライナー」は17時から23時まで、1時間ごとに計7本が運転(土休日は22時まで)されます。新宿から京王八王子までの所要時間は、最終の13号が36分、そのほかは40〜42分です。日中の特急よりも短い所要時間で速達サービスを展開しています。

 対する「はちおうじ」は定期便で18時15分、20時30分、21時30分の3本と、一見「京王ライナー」よりも不便に見えますが、同区間では特急「あずさ」や「かいじ」も運転されており、17〜22時台までおおむね30分ごとに座席指定列車が利用できる体制となっています。所要時間は37〜39分で「京王ライナー」とほぼ同じです。

 値段は、京王電鉄が運賃370円+ライナー料金410円の780円、JRが運賃490円+特急料金760円の1250円(いずれもきっぷ)。なお、「はちおうじ」にはグリーン車が連結されていますが、八王子までこれを利用すると2020円となります。

 ここまで見ると、運賃・料金面では「京王ライナー」に、運転本数では「あずさ」「かいじ」を合わせたJR特急に、それぞれ軍配が上がるようです。

人気列車ゆえ実際の利用となると…

 座席指定列車の運行時間帯は、帰宅ラッシュで優等列車を中心に混雑が見られる時間帯です。したがって座席が確保できるライナー列車や特急列車の人気は高く、発車までに満席になる例も珍しくありません。

 京王電鉄、JR両社とも駅でのライナー券や指定券の発売はもちろん、スマホやウェブサイトからの購入も可能にしており利便性は互角です。

 ダイヤ面でいうと、京王電鉄は「京王ライナー」の1分後に特急が続行するダイヤとなっており、もし満席でライナー券が買えなくとも後続の特急に乗れば、10分弱遅くはなるものの速達で八王子へ向かえます。ただし、この時間の特急は混むので、府中あたりまでは座れないかもしれません。そして満席だからと新宿で1時間後の「京王ライナー」を待つのは、さすがに現実的ではありません。

 一方のJRは、たとえば「はちおうじ1号」が満席の場合、8分後に通勤快速の河口湖行きがあります。この電車の八王子着は19時8分。「はちおうじ1号」の14分後に到着します。

使用車両を比較 JRは特急「あずさ」と同じ

 ただ、「はちおうじ1号」の15分後に新宿を発車する「かいじ47号」に乗れば八王子着は19時5分。通勤快速よりもわずかですが早く到着できます。特急の本数が多いことで、疲れている時は15分待って「あずさ」や「かいじ」を利用するという選択肢が得られるのは、JR利用のメリットといえるでしょう。新宿駅の場合は待合室で座って待つこともできるので、この点は至れり尽くせりです。

 最後に使用車両について見てみます。「京王ライナー」にはロング/クロス転換シートを採用した5000系電車が充てられ、無料Wi-Fiサービスもあるなど通勤形車両としては上質のサービスを提供しています。座席のかけ心地についても、リクライニングこそしないものの、ロング/クロス転換シートの中ではトップクラスにホールド感があり、40分程度の利用であれば満足です。

 対するJRは特急形E353系電車。こちらは「あずさ」として長野県内まで、200km超えの利用を想定したテーブル付きのリクライニングシートです。車内の静粛性も良く、たとえ短距離利用であっても、特急料金760円分の価値は十分にあります。

 このように両社のサービスを比較してみると、所要時間は互角、運賃・料金は「京王ライナー」、運転本数はJR、車両設備はお互い値段相応と棲み分けができているようです。なお、「京王ライナー」は府中以西で特急と同じ駅に、JR特急は途中で立川に停車します。