「本州最短の航空路線」として知られているのが、JACが運航する伊丹〜但馬線です。直線距離にして約100km、ダイヤ上の運航時刻はわずか35分というこの路線に、実際に乗ってきました。

JAC主力機「ATR42」毎日2往復

「本州最短の航空路線」として知られているのが、JAL(日本航空)グループのJAC(日本エアコミューター)が運航する伊丹〜但馬線。ほぼ“兵庫県内”を結ぶという異例の路線です。

 ほぼ、というのは伊丹空港が大阪府と兵庫県にまたがっているからですが、向かう先のコウノトリ但馬空港は兵庫県北部、日本海側にあります。毎日2往復が運航されており、直線距離にして約100km、ダイヤ上の運航時刻はわずか35分の短さです。今回、この路線に乗ることができました。

 同便は伊丹空港のターミナル端にある23番ゲートから、バスで機体のそばまで行く「沖止め」の搭乗スタイルを取ります。ターミナルを出発したバスはJALグループのJ-AIRの格納庫などがある北西エリアまで2分ほど走ります。

 この路線に用いられているのは、JACの主力機のひとつ、欧州ATR社製のターボプロップ機「ATR42-600」。2017年にJACでの運航が開始された新鋭機です。席数は48席で横2-2列のシート配置となっています。機体は前方が貨物室になっている関係上、前方からではなく後方から乗り込む、一風変わったスタイルです。

ベルトサインが消えた瞬間に珍アナウンスが

 搭乗した便は、ほぼ満席の状況でした。出発は午前9時2分。ターボプロップ機による運航便らしく、車両によるバックがない“前進出発”です。伊丹空港の滑走路は短いA滑走路(1828m)と長いB滑走路(3000m)の2本で構成されていますが、この便ではA滑走路の方を用います。

 離陸時刻は9時7分。離陸直後は進行方向にある六甲山などを避けるため、いったん左に旋回し、大阪湾上に出てから右に旋回。「S字」をかくような飛行ルートを取りつつ、高度を上げています。この日は主翼そばの窓際席でしたが、ATR機は高翼のレイアウトゆえ、この席でも眼下の景色を翼が遮ることがありません。

 航空機追跡サイト「フライトレーダー24」によると、このフライトでの巡航高度は1万150フィート(3094m)。雲の上まで出たと思いきや、9時12分にベルトサインが消えます。このとき「5分後にベルトサインを再点灯させる」趣旨のアナウンスが流れるのは、同路線のフライトの短さを物語っています。

 同便ではドリンクなどの機内サービスはありませんが、ベルトサインが消えるわずかな時間をぬって、希望者にCA(客室乗務員)からアメが配られます。配り終わった頃を見計らったように9時18分にベルトサインが再点灯。ベルトサインが消えている時間はわずか6分間だけでした。

伊丹〜但馬線のフライト時間は?

 但馬空港は標高176mで、豊岡市南西約5kmの丘陵地帯にあります。そのため、まるで周囲の山の間の這うように飛びながら高度を下げている感覚に陥ります。高度をぐんぐん下げつつ、9時26分には車輪を展開、29分に但馬空港へ南側から着陸しました。純粋に飛んでいる時間は、わずか22分ということになります。

 機体が完全に停止したのは、9時30分。但馬空港は降機後、歩いてターミナルビルに行く、離島などのローカル空港で一般的なスタイルの導線をたどります。空港ビルは2階、そして屋上の展望デッキで構成され、ストリートピアノや多目的ホールなどもあります。

 この但馬空港は、兵庫県によると「但馬地域の高速交通の空白状態を解消し、交通の利便性を高めるコミューター空港として、また、但馬地域の振興のために整備された」空港だそうです。

 ちなみに、伊丹〜但馬線より短い「日本最短の航空路線」は、JALグループのRAC(琉球エアーコミューター)が運航する南大東〜北大東線です。直線距離にして13kmとなっています。

※誤字を修正しました(7月26日10時56分)。