舞浜にあるホテルの一角に、業界としては世界初導入となる、本格的な旅客機のフライトシミュレーターと客室モックアップ施設がオープンします。実際にこの施設をひと足早く体験してきました。

「啓徳カーブ」も体験可能?

 日本有数のテーマパーク「東京ディズニーリゾート」に隣接する千葉・浦安市舞浜のホテル「シェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル」。ここに2022年8月より、ホテル業界としては世界初導入となる施設「Fly with Sheraton」がオープンします。パイロット操縦訓練で使用する高品質な旅客機のフライトシミュレーターと客室モックアップ(原寸大模型)を組み合わせた施設が、同ホテル2階に設置されたのです。

 この施設は東京都品川区でシミュレーター施設を運営する「Skyart-japan」とコラボレーションで実現したものです。

 フライトシミュレーターは、JAL(日本航空)、ANA(全日空)をはじめ、国内の航空会社でも多く採用されているボーイング製旅客機「737シリーズ」のもの(ただし、2社で採用されている737-800とは別型式)。本物の飛行機のスイッチや操縦桿が実物大として搭載されていることに加え、ソフトウェアもボーイング社と同じものを使用しているそうです。

 このシミュレーターでは世界約4万5000の空港から利用者の好みに応じた飛行ルートと飛行時間を選ぶことができるそう。たとえば海外であれば、建物の直上を旋回するアクロバティックな着陸として、世界の航空ファンのあいだで“伝説”となっている、かつての香港の玄関口「啓徳空港(カイタック空港。1998年閉港)」への着陸進入、国内であれば「ロケットスタート」として知られる、札幌・丘珠空港の1500m滑走路からの離陸操作なども体験できます。

 客室モックアップはフライトシミュレーターのドアを隔てた後方にあります。シミュレーターとモックアップの配置も実機を再現しているようで、その間のスペースには、実機で使われていたと思われるトイレやギャレー(簡易キッチン)なども設置されています。

 そして、このもうひとつの目玉、約13mの長さをもつ客室モックアップには、オールドファンにはたまらないチョイスが各所に凝らされています。

内装には往年の名機、シートは伝説のB747のもの

 客室モックアップとして再現されているのは、アメリカにかつて存在した航空機メーカー、マクダネル・ダグラス社(現在はボーイング社の一部)で製造されていた往年の旅客機「MD-90」の客室です。MD-90は胴体後部に2発のエンジンが備わった「リアジェット」のスタイルが特徴で、日本でもかつてJAS(日本エアシステム)で導入され、JASと経営統合したJALでも2013年まで使用されていました。

 モックアップでは、実際にアメリカ・デルタ航空で使用されていたMD-90実機の窓枠パネルや手荷物預け棚が設置されています。ただ、こちらも、単に「同型機を再現した」というわけではありません。

 モックアップに搭載されている座席やカーペットは、「ジャンボ・ジェット」ボーイング747-400で運用されていた日本の旧政府専用機と同仕様のもの。旧政府専用機のスペアパーツとしてストックしていた本物の座席やカーペットを、モックアップのなかで体験できるのです。

 シミュレーターとモックアップの手前は受付エリアとなっており、物販などでお土産を購入することができます。ただこちらも、受付に用いられているテーブルが、かつてJAL、ANAの主力機としてもおなじみだったボーイングの3発ジェット機「727」のエンジンカバーを再利用したものとなっているなど、ファン向けの仕掛けが“ところ狭し”とならんでいます。

 シェラトン ホテルは今回の施設について「海外への旅行がまだまだ難しい中、非日常感あふれるリゾートでの滞在を今まで以上に楽しんでいただきたいという想いから、この施設の導入に至った」とコメントしています。体験料金はモックアップ入場のみで15分3300円(1〜5名同額)。シミュレーターとモックアップ入場は宿泊プランで1万5000円から、ビジター利用の場合1万9800円からとのことです。