80年前の9月2日、イギリスの戦闘機「ホーカーテンペスト」が初飛行しました。

24気筒大馬力エンジンで性能は優秀

 1942(昭和17)年の9月2日。イギリスの戦闘機「テンペスト」が初飛行しました。

 本機はホーカー社が「タイフーン」に続いて開発した機体です。テンペストは「嵐」という意味。4タイプが作られたうち、初飛行したのは「Mk.V」というタイプで、以後これが量産型となります。

「テンペスト V」の特徴は「タイフーン」と同じく、ネイピア・アンド・サン社製の「セイバー」という名のエンジンを積んでいることです。このエンジンは、レシプロエンジンとしては3500馬力という大出力を発揮できるよう、水冷24気筒の構造でしたが、なんとサイズをコンパクト化するために水平型直列エンジンを2つ上下に重ねた、カタカナの「エ」のような形状をしていました。ゆえに欧米などではアルファベットから「H型」エンジンと呼ばれます。

 また、このような大出力エンジンをオーバーヒートさせないよう、ラジエーターも比較的大型のものを搭載。しかもそれを機首下方に取り付けたことで、いわゆる「下ぶくれ」のような外観となりました。これは別メーカーの別構造のエンジンを搭載した「Mk.II」には見られない特徴です。

 ただ、見た目とは裏腹に性能は優秀。低高度でも700km/h超えの抜群の速さを発揮し、空中戦では最新鋭のジェット戦闘機「Me262」と互角に渡り合ったほか、ドイツが新開発した戦術ミサイル「V-1」からイギリス本土を防衛する役割も果たしました。また対日戦(極東戦線)への投入計画もありましたが、その前に終戦を迎えたため日本には姿を見せることなく終わっています。

 H型24気筒という特異なエンジンは、やはり高度な技術が必要なのか、なかなかトラブルフリーとは言えない代物であったといいます。なお、その後は高性能なジェットエンジンやターボプロップエンジンが実用化されたため、イギリス軍では最後のレシプロ機となりました。

 ちなみに、2018年の夏、「ファンボロー国際エアショー」でBAEシステムズが次世代戦闘機のコンセプトモデルを発表しました。特異なステルス形状を持ち、有人機と無人機の編隊で運用する仕様ですが、その名は奇しくも、WW2末期に活躍した機体と同じ「テンペスト」と命名されています。